2018.10.15
実りの秋。収穫の秋を実感

午後から参加させていただいた初めての稲刈り。春の田植え、その後の雑草取りに続く今年三度目の遠山さんのは田んぼでの体験になります。

確か遠山さんが言っていたと思うのですが、お米作りって日本人の食の根幹にあるものだから百姓としてやっぱ、効率と言うか採算を度返ししてでもそこは押さえていないといけないものなんだ。と。

実際三度にわたりお米作りにかかわらさせていただきましたが、正直大変な作業です。お百姓さんの手間暇には頭が下がります。特に無農薬!機械化も最低限の人力頼み。今はやらなくなってきている“はざかけ”までもしっかり米作りを全うするやり方。でもこれが楽しんだな。楽ってことはないんです。しんどいけどやっぱ。それこそ日本人の食の根幹に携わらしてもらっているっていう充実感ですかね。それに何よりも遠山さんのお米ってやっぱすっんごく美味しいし。

こんなこと言っちゃああれかもしれませんが、一生に一度でもこういった作業を経験しとくと食べ物のありがたさを実感できると思います。今の日本の自給率40%ちょいなのにこれだけスーパーやコンビニに溢れる食品。ホテルや宴会場巷のレストランや居酒屋で廃棄されている食品の多さ。なんか逆行している。

これも言わずもがななことかもしれませんが先日も書きましたが、うちの店ではほとんど戻ってくるお皿に料理は残ってきません。残飯ほぼゼロ。ごみは仕込みの時に出るものだけ。と言う日常を当たり前のこととして過ごしていて、長女が手伝いに来てくれた時に(彼女は当時飲食チェーンでバイトをしていました)こんなにごみ出ないんだ!・・・え?普通じゃないの?こういうのって。うちのバイト先食べ放題だからかもしれんけど食べないのに注文するみたいで結構残飯多いよ。って聞いてまあわからんでもないかって。そういう所って飲食・サーヴィス業って体をした流通業で効率重視。そういう所に行くお客さんもしかり。しょうないっしょ。

逆にうちの考え方は自分が食べたくないものは使わない。から始まってキロメートリ”0” 地元の顔のわかる食材を極力ベースに置く。魚。肉。オリーブオイルなどの最低限の調味料もAとBがあればAを買う。昔はそんなイタリアン(洋食)ないから(今でも地方じゃないと思っていますが)額面だけで高いって言われ続けましたが・・・。とは言え。潰れずにやってこれたのも支持してくださるお客様がいたからこそ。食べることに対して真摯でいられる人たち、それを支えてくれる生産者の方々・良質な食材をインポートしてくれるインポーターさんがいたからこそ。そこを介在して僕ら料理人はちょっとした魔法とまではいかないまでも調理を施してあげればいいんです。し過ぎないように。そこの加減だけわかっていれば。

 

でも、こういう体験をするや作ってくださる生産者と関わることで食材とお客様との間に居ることを実感でき、そこでの距離感が養われてきたような気がします。

そんなことを改めて考え直されながら作業は続きます。

また今日は明け方までの雨は心配されましたが、足元はぬかるんではいたもののすがすがしい秋晴れに恵まれ、作業中はもちろん汗はかくのですが、これがまたすがすがしい汗なんです。俺も関われてるんだなあ。って。

 

田んぼはテニスコート4面から5面ほどでしょうか?一人の担い手が小さな稲刈り機で刈った稲を束ねて行ったものを、遠山さんともう一人ではざかけの骨組みを組んでいきます。その他に交じり自分も束ねた稲の束を回収してはざに掛ける作業をしていきました。

ここ新城でもコンバイン?そこそこ大きな機械で稲を刈った端からどんどん脱穀していくやり方が主流ですが、遠山家のは真逆。稲を刈って束ねる稲刈り機がない時代を考えるとぞっとします。それこそ田植え歌ってテレビで見ていると何気なく見ていましたが、そりゃあんな作業を一日すると思えは歌でも歌わんとやっちゃおれん。ていうのが正直なとこだったんじゃあないかと思えます。歌は歌いませんでしたが。

 

まさき笑っていますが、ずっとハナちゃんと遊んでました。ま。畑に来るだけでもいいとしましょう。遠山さんちの家訓“働かざるもの食うべからず”ですから。フォームだけとはいえ、田んぼに来るだけでも家業を分かっています。

 

収穫の秋。実りの秋を満喫できた一日。気持ちのいい汗をかきました。しばらくしたら脱穀され精米した新米が楽しみです。


初めての稲刈り

ほのぼの、まさきとハナちゃん。


休日に

今日は二週間ぶりの休日。臨時営業の日曜日と祭日の月曜日につづき、週が明けても何かと忙しく疲れてはいても嬉しい再会、東京の青さんが久しぶりに遊びに来てくれたり、初めてのスタッフの砂智子さんのご両親の結婚40周年の食事に来店されたりと慌ただしい中でもホックリとする出来事も多く充実した内容の二週間でした。それに来週開催予定の料理講習会の食材を帰国したての島田さんが金曜日に持ち帰ったばかりの素敵な食材を届けてくださりとモチベーションが上がる出来事も。

 

とはいえお疲れ様で。朝寝起きからぼーつとしていると娘が僕の大好物の“甘々玉子焼き”をこさえてくれました。普段の日常では通勤途中にパンをかじりながらコーヒーの生活。朝はぎりぎりまで体を休めることにしているので朝食をゆっくりとはなかなかいかず普段はそうなってしまっていて、唯一のんびりできる休日ですが、それも最近は何かと行事が雨で日曜に繰り越されたりずれたりで、休日とは言えのんびりとしてはいられないことも多く、ほんとに久しぶりにこんなのんびり朝のひと時を過ごしました。

 

で。今日は午後から遠山さんの田んぼの稲刈りの手伝いに参戦予定。本来ならば朝から行きたいところですが、疲れていることと年齢を考え午後から伺う旨を約束しておきました。

ま。ひとまず午前中は休養です。ぼーっとします。


2018.10.13
料理講習会の食材が届きました。

オリーブオイルテイスター島田さんが帰国早々素敵な食材を持ち帰ってくれました。これらを使用して今度の料理講習会を開催したいと思っています。

今回の流れになった経緯。食事に来店された際の帰り際の四方山話の中で、また料理講習会に参加してくださいとお伝えすると、ちょうど今回オリーブオイルの収穫時期に合わせてイタリアに行くんですが、何かその際買ってきましょうか?と言う話になり、それをうちで調理して。それに合わせてオリーブオイルのヌオヴォ(ヌーボー・新油)の試食会も兼ねて。と言う話に至りました。

で、お伝えしたのは、日本ではなかなか手に入らないシンプルに美味しいものでイタリアらしい食材を。でした。そに彼女、ダイレクトに生産者の元で購入できる人なので、「こうやって食べてほしい。この土地ではこうやって食べるんだ」など、作り手の思いもうかがってくることができます。それが講習に反映できればとの思いを伝えました。

 

こういった思いに至った経緯があります。19歳でイタリアに渡航して5年間現地修業、経験が出来たことは、はたから見ると幸運に見えるような経験が帰国して暫くは結構な足かせのように感じていました。一つは、全く日本での調理修業経験がなくいきなり現地イタリアで食材にふれ、調理経験、調理場での人間経験生活者としての食経験etc、すべてにおいて帰国は全否定に会い、『ここはイタリアじゃあないんだから』で一蹴されました。ほんとに日本のやり方になじむまでに苦労しました。今でこそやっぱり自分にとってはこちらの方がよかったんだ。呪縛が解けて来たと思えるようになるのに30年かかりました。

 

食材についてのぜいたくな悩みが今回の島田さんへの今回のお願いになりました。その経験とは、何せ19歳で右も左も分からずいきなりイタリアでの生活が始まっていまい、しばらくして現地フラスカティでの実地の研修が始まったのですが、当たり前に食材を調理したものを体験していたのですが、いざ帰国して調理に携わるようになって初めて食材の違い、もっと言うと水までも違い全く思ったようにいきません。もちろん当時自分の経験値もあんまりないことも含め、今ほど食材も豊富ではなく、玉ねぎ、にんじん、セロリに始まり肉魚、乳製品の風合いすべてにおいて違いをまざまざと、どういうふうに違うのかさえ分からない。という状況の時代が長く続きました。その中で自分なりに、こうやったら少し風合いが近づける。というやり方を自分なりに発見、開発してきました。今でこそ得意技になりましたが、ここまでに至るにはこれだけの時間がかかりました。ですから今から、今後イタリアでしてみたいことは、週貸しのアパートで、できれば家族と滞在してメルカート(市場)で食材を買い、地元のパンを買いサラミやチーズでワインを飲みながら気が向けばパスタを作り、肉を焼く。またある日は魚介のマリネを作り、魚を焼く。そんなことをしてみたい。あ!こういうことだったんだ。こんなふうに違うんだ。と言う思いと。確認作業をいつかしてみたい。

 

そんな思いの前哨戦が今回の講習会を通して出来たらと。

 

今回持ってきていただいた食材。

・ドライトマト。ヘーゼルナッツ。ヘーゼルナッツ酒。ドライポルチーニ、ポルチーニ・ソルト。シチリア産ツナ缶。ピスタチオ入りアンチョビ。真鯛のパテ。

アマトリチアーナ用プロシュット。サラミ。黒豚のラルド。サルデーニャ島産ボッタルガ。ペコリーノ・ロマーノ。オレンジのマーマレード。

オーリオ・ヌオヴォ(新油)二種

となります。

 

 

ですから今回の料理講習会は、お味見会・実食が中心となります。パックや容器の開封は直前になるのでこちらも味の確認がぎりぎりになります。その為調理はほんとにライブのようになると思います。

 

お楽しみにしてお越しください。


2018.10.09

““Tortelli  in brodo“ 炙った雉とトルテッリのスープ トルテッリ・イン・ブロード

この料理のベースとなっているのは夫婦で過ごしたロンバルディア州マレオ村にあるAlbergo del Soleでの生活からですが、この地方はどちらかと言うと隣接するエミリア・ロマーニャ州の影響を色濃く受けており、パルマ。モデナ。ボローニャ。マントヴァ。を筆頭に大小さまざまな中世の繁栄の面影を残す美食の町、それを支えるポー川州域一帯の肥沃な農業地帯を控えています。豚加工品の筆頭“クラテッロ”を頂点とし、プロシュット,コッパ、サルシッチャやサラミ類。以前は貴族の館などで自家消費や献上品としてひっそりと作られていたバルサミコ酢。お米(リソ)やポレンタ、各種手打ちのパスタやラビオリ類などなど。

長く暮らしたラッツィオ州とは全く料理のとらえ方が違いました。移り住んでやはり一番興味をひかれたのは手打ちパスタやラビオリのバリエーションの多さでした。

その中でも一番惹かれた料理がこの“トルテッリ・イン・ブロード”でした。庶民的なトラットリアではやはりほっとする仕立てですし、オーナに連れて行っていただいた三ツ星レストランのDAL PESCATOREでいただいたこの料理は、ただただ高貴さを湛えていました。こんなに振り幅が広い料理もそんなには無いように思えます。その分、ただレシピをなぞるだけでは中途半端なお皿になってしまうという危険性も多く含んでいると思います。作り手のイメージがはっきりと表れるというか。

昔から作り続けている料理ですが、少しづつマイナーチェンジを繰り返してきた料理でもありますし、前にも書いた“スープ”と言うカテゴリーの為あまりオーダーされません。ただ通常の仕込みのストックであるブイヨン(スープ)とトルテッリは冷凍ストックできるので、それほどの負担ではないのですが、ことあるごとにマイナーチェンジを施し。労力とエネルギー量は一番多い料理かもしれないこの料理、にもかかわらず陽の目を見ることの少ないお皿と言うことになっています。でも食べると自分にとっては懐かしく。お客さんにとっても食べたら美味しい料理だと思っています。後はどうつなぐか、橋渡しをお店としてするかですが、今は1万円のコースに入れました。このくらいおおらかに食事をとれる方ならこの料理の持つバックボーンも含め喜んでいただけるんではないかと言う思いに至りました。

そして少しアレンジの部分で、炙った雉もしくは山鶉の野趣あふれる香りを加えることでより深みのあるお皿に高めれたと思っています。

”Sabbiosa” サビオーサ始めました。

“Trtufo bianco” 白トリュフ始まりました。今回はご予約で即日完売。

魚介と根セロリのマリネ“シュエ・シュエ”


2018.10.04

普通のトマトソースって仕込むの何年ぶりでしょう。

 

第二弾栗剥き終了。


2018.10.03
秋のドルチェ続々と

先日剥いて置いた栗を使って定番“栗のカタラーナ・栗のはちみつを添えて”始まりました。

これは栗好きの由貴のさんへ。お供え物!

今週末のご予約のご家族のためにちょっと早いですがSabbiosa“サビオーサ”始まります。


2018.10.02
サマートリュフの”ノルチア風”

トリュフのスライスににんにく、アンチョビペースト、オリーブオイルで仕上げるノルチア風ペースト。これをミキサーにかけるだけですが、これをパスタで和えると絶品。Ris,Caccianiのスペシャリテ。この料理を始めて食べた時には本当にびっくりしました。ハートを撃ち抜かれた料理です。


バナナのセミフレッド、ココナッツのパンナコッタを添えてパッションフルーツ風味

鰆の炙り、エシャロットヴィネガー香草風味

北海道ヒグマの赤ワイン煮を詰めたラビオリ、トリュフ風味

 

 

八ヶ岳甲斐路軍鶏のグリル、ローズマリー風味


食材の潮目

10月に入り(この日台風一過、豊橋も三分の二が停電。自宅新城も20時間ほど停電でした。)この夏の暑さがウソのように秋が廻ってきています。それに従い食材もぐっと厚みが増してきました。

”Monte e mare” 地蛸とジロール茸の温かい前菜

すっかりうちの定番になりました。こてこてのローマ料理。

”Straciatella ai Funghi porcini” フレッシュポルチーニ茸のストラッチャテッラ(卵のかきたまスープ)”マレオ風

スープってカテゴリーはなかなかオーダーされにくいイタリアンの宿命ですが、静かなるファンの居るメニュー。今年は特にポルチーニ茸の出来がいいのでつとに押していきたい料理。

“Tagliatelle alla Norcia” サマートリュフ(黒トリュフ)ノルチア風タリアッテッレ

この料理も“カステッリ・ロマーナ”ローマの内陸部の料理。うちの不動の4番!毎年少しずつマイナーチェンジをして今の形に。トリュフを上からも削るようになったのは今年からのバージョン。

 

 

 

“Vitello e animelle alla mugnaia” 仔牛肉とリードボーのムニエル・マデラ酒風味

ローマではなじみのある食材アニメッレ(リード・ヴォー・仔牛胸腺肉)を自分なりに解釈し直して日本人にも食べやすく、よりおいしく感じてもらえるようにと少しアレンジした自信作。

それも流通がよくなってかなり鮮度の良いアニメッレが仕入れれるようになったからこその料理。


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