モッツァレラチーズはいつもここ。の、北海道白糠酪恵舎の皆さんが社員旅行で愛知に来られたのを機に食事に立ち寄ってくださいました。
代表の井ノ口さんとお会いするのは今回で3回目。そもそも知り合ったきっかけはNHKのテレビ。もう10年以上前のこと。偶然夜帰宅してTVを着けぼーっと観ていると確か深夜の再放送の番組で、自分の将来の方向性や人間関係などに迷った10代の子たちを専門家(その道のプロ)の作業場に1週間ほど寝食を共にさせて、どのようにそういった先輩たちが自分の道を切り開いてきたか?と言うことを身をもって体験させ当人の少しでも殻を破るきっかけになってほしいという趣旨のなかなか骨のある番組でした。
その現場に行く少年たちもさることながら受けるその道のプロの人たちもそれなりに覚悟のいる番組です。
その番組で酪恵舎さんに来たある少年が、工房での注意事項(消毒をして部屋に入るわけですが、手に着いたわずかの雑菌でもチーズづくりにはNG。)の説明を聞いていたにもかかわらず、ずっと立ち仕事で慣れないその子がふっと壁に手をついた瞬間に烈火のごとく井ノ口さんがその子に怒りました。
あ。この人って預かったその子のことを本気で思っているんだ。っていうような本気の怒り方。それもTVカメラの前で。
自分もいつも(もう人雇ってないんでしないですが。)その子の10年後のことを思ってって注意してきたつもりですし、そうやって自分も先輩から指導していただいてきました。そん時は怒られた本人はわかんないんです。自分だって分かり始めたのは人の上に立った時。さらに言えば自分のお店の収益で人を雇い始めてからです。
縁あって関わることになったんだから、給料は安いけど少しでも後々あすこに居てよかったって思ってもらえたらと思いながらでも、毎日怒ってばかりの日々が続き、当時の休日明けの木曜日になると『シェフ。お話が。』毎週のように退職者が・・・。当時は人間不信に陥っていたころにその番組を観てこんな強い人がいるんだって。それだけ見たら怖い人に勘違いされるかもしれないけど真剣に怒ってくれる愛情深い人ってやっぱいるんだ。って共感してすぐ次の日、朝一番に早速そのTVを観た旨を伝え電話をしたこと。これからチーズを購入することでお付き合いしてもらいたいことをお伝えしました。それからのお付き合いとなります。
《そんな時代もありましたが、自分の店をもって20年目のこの頃景色が変わってきました。こいつ絶対帰ってこんだろう。と言うような子とかがお客さんを紹介してくれていたり・・・。何より頑張っている子が顔を見せに立ち寄ってくれることが増えました。同業の他のお店の若かい子にも【あそこは厳しい。】って言われていたようですが、それぞれが責任ある立場や自立して人を雇うようになった今ではそんな声は聞こえなくなりました。今では少し自分が先にいたというだけだと思えるようになりました。
もう一つ言わせてもらえば、イタリアでは自分たち外国人のハンディーのある立場+もともとイタリア人は個人主義と言うかあまり細かいとこに干渉されません。お皆ちゃんとやっているし、でも視みられてる。自分をもって+相手にちゃんとイタリア語で関わっていかないと相手にされません。その逆で東京では全国からそこを目指してバリバリのスタッフが名店には集まってきます。皆しのぎを削りながら、さらに現場は精神的にも体力的にも厳しい。地方ではあんまりないのかもしれませんが『陰翳』のある華やかな場所とその陰、だからいいものが生まれ、それを支えるお客さんもいる。相乗効果です。コントラストがはっきりしている。キラキラした所に立とうと思えば根性入ります。こうやっていえるようになるまで30年かかってます。年季がいることです。》
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