2019.02.28

赤座海老と自家製ドライポルチーニ茸のクリームソースのパッパルデッレ

北海道仔羊の猟師風“カチャトーラ”カッチャー二のスタイルで


2019.02.26

ザンギエイのムニエル 根セロリのピューレ、春野菜のラグー添え

仔牛とクラテッロの詰め物をしたトルテッリ 雉とそのブロード“トルテッリ・イン・ブロード”


2019.02.25
お知らせ

2月26日は八名小学校で昨年も受け持たせていただいたのですが“プロフェッショナル”と言う6年生に向けての授業を担当ささせていただくことになっており、その出仕事のためお昼の営業は臨時休業となります。


ぼくのソールフード

イタリア料理を作っているうえでいつも心に留めていることがあります。いかに日本人としてのアイデンティをもってイタリア料理と言う外国の食文化と向き合うかです。

二十歳の頃イタリア人の同僚や研修に来ていた15,16歳のホテル学校の年下の彼らに、当時(今もかもしれませんが)失業率のものすごく高い経済状況の中で若いのにしっかりと自分の足元を見つめていて、地元愛に溢れ家族思いで友達を大事にする彼らの達観の仕方に当時カルチャーショックを受けました。20代の自分はそんなこと考えたこともなく、のほほんと10代を過ごしていましたから。

またある時には。通りすがりの言ってみれば田舎のおじいちゃんに『お前は中国人か?日本人か?』と問われ、『日本人だけど』と答えると『じゃあ。KUROSAWA(黒澤明)を知ってるだろ!【Satte samurai(七人の侍)は知ってるだろ!』『知らない』と答えると『お前は。ほんとに日本人か』って言われたことがあって、帰国して真っ先にDVDを借りてきて観た映画が【七人の侍】と【ローマの休日】でした。・・・これも見て吃驚しました。グレゴリー・ペックのアパルトメンとの設定のVia Margutta(マルグッタ通り)って、毎日歩いて通勤していた時の通勤路、ひっそりとして知的で趣のある美術職人通りでしたから。

それから30年。20代30代もちろん40代に経験してきたこと、当時点と点だったことが次第に点線になり実線にもなりました。自分は大学に行かない。と決めた時点で、友人たちが進学していく中で同じ4年間を自分らしく過ごして、悔いのないようにしよう。とだけ心に秘めてイタリアに渡航しました。今でも覚えています。自分なりに面白い経験が出来たと思います。もちろんいいことばかりがあったわけではありませんでした。30年も経つと好いことばかりだったような気がしていますが・・・。

で。味噌汁に近づけて行かなくてはなりませんが、30代から40代の頃料理をしていくうえでものすごいスランプがあり、その時から修行当時のことを何度も何度も振り返るようになりました。だって自分の経験してきたことからでなければ自分から出てこないわけですから・・・。そういった若いころの体験とスランプを経て思い至ったことがあります。日本人として四つにイタリア料理と向き合おうと。その頃からイタリアに研修旅行に行きたいと思わなくなり、そんなお金と時間があったら日本の各地を旅してみたい。見聞を広げてみたいと思うようになりました。だってイタリア料理のイタリア人たちは0歳からっパスタ、オリーブオイル、サラミやチーズ、はたまた中学生くらいから食事にはミネラルウォーターで割ったワインの生活をしていた彼らには20年!のハンディーキャップがあり。こっちは、味噌汁とご飯と漬け物で育ったわけですから。ネイティブな彼らイタリア人の生活者に対して、かたや昨日今日渡航してきた極東のアジア人なわけです。それ以上の実感と言うハンディーがあるわけです。僕ら研修生としては。じゃあ自分たちには何があるか?としたら日本人としてのアイデンティーを見つめ直していく方が自然ではないかということに考えが行きつきました。

この10年はなるべく日本の原風景が残るところ。または、人に会いに行くこと。をベースに何度も同じ村に通うような旅を心がけてきました。沖縄。四国(梼原)。加子母村(渡合温泉)などです。いろんなもの(思い)をいただいています。子供たちもいまだに沖縄の話になりますし、『梼原の農家民宿のおばちゃんの椎茸のステーキ美味しかったね。』であったり『茄子のお好み焼きもまた食べたいね。』だったり。まだ小さかった子供たちもその時々の思い出があるようです。

先日帰省して会いに来てくれた青さんでさえ『今度渡合温泉行くときは言ってください。私一人でも帰ってきます。』って嬉しいこと言ってくれます。

で。この味噌の話にやっとたどり着けました。

同級生の友人がご夫婦で定期的に半田から食事に来てくれます。いつもなんかかかんか手土産を携えて来てくれるのですが、ある時『うちで食べてる味噌だけど。』って言って一度この味噌を持って来てくれたことがありました。初め『懐かしいなあ。半田の味噌か。』くらいに思っていましたが、実際に味噌汁で食べてみてハッと気づかされました。忘れていたこの赤味噌の味。一般的な赤味噌はこのあたり東三河でいうと岡崎の八丁味噌が主流だと思います。で。この半田味噌(南知多町大井)徳吉醸造さんの味噌は、当時子供の頃に食べていたところのではないのですが、とても風合いが似ていました。

当時自分たちが住んでいた成岩町(半田市)には小さな味噌醤油屋さんがあってそこにボールかなんかをもっておばあちゃんと量り売りで売ってくれる手前味噌を買いに行ったことを思い出しました。その味噌は豆感がしっかりと残った赤味噌で、それを味噌濾しでざっと濾すのですが、最後に濾しきれなかった味噌粒も味噌汁に戻し、下に味噌粒がとぼるような田舎らしい素朴な味噌汁でした。その風景を40年の時を飛び越えて久しぶりに思い出す経験をこの味噌が僕の忘れていた記憶の引き出しをサッと引き出してくれました。で。前回来店した際に、今度寄ってくれる時に『前持って来てくれた半田味噌お金払うから買って来てよ。』ってお願いしてありました。

でも、いつものことで彼はお土産で持って来てくれ、こっちもお返しで白ワインをお出ししました。“ギブ・アンド・テイク”です。

 

よくお客様に、どうやって料理を考えていますか?って言われることがあるのですが、半分はイタリア人の中で自分が経験してきたことを振り返ることであり。もう半分は、日本人として俯瞰してイタリアを見ている部分の両輪です。と。答えるようになりました。ですから僕の幼少期の食を担ってくれていたおばあちゃんの料理が今の自分の味覚を作ってくれていると思っています。

当時はそんなことなんて思いもよらずに過ごしていましたが、何につけても時間が立ってみないと気づかないこと。分からないことってホント多いですね。


2019.02.23
冬来たらば春遠からじ

まだまだ寒い日が続きますが、野には春の兆しが。


2019.02.22
ザンギエイ

約一年ぶりでしょうか?ザンギエイが入荷しました。


2019.02.17
弾き初め会

たまには自分の写真も載せましょう。

三味線(長唄)を始めてはや6年!わが社中《まつの実会》の定例発表会が今日ありました。夏の“ゆかた会”とこの時期の“弾き初め会”の年二回です。半年で一曲+今まで練習してきた曲で一曲の計二曲が通常の自分の課題です。無事に自分の演奏曲“小鍛冶”と“連獅子”を先輩たちと一緒に弾き終えることが出来ました。入門したころは、ほんと先が見えないほどどうしていいのか全く三味線が手につかないような状況であり迷走していましたが、千里の道も一歩より。で、何とか形になるようになってきました。

精神的プレッシャーの中3時間弱の各演奏が終わるとお愉しみの打ち上げ(宴会)です。時にはほろ苦いビールの会もありましたが、それも勉強の内だよ。って励まされてまた明日から精進の日々。とやっていますが、今回は自分なりにちょいミスはあるものの想定内で、美味しくビールを今回は頂くことが出来ました。

で。ホロ酔いで帰宅。たまには?はっちゃけてみてもいいでしょうか?

ご機嫌なお父さんを見るのは子どもとしても嬉しいもんだろう。と勝手に思っています。

【お代官様ごっこ】で、“あれー。おやめくださいませ。お代官様。”なんて言ってみても誰も帯を解いてくれません。仕方なく由貴さんに解いてもらいました。

こうやって、改めて自分のご機嫌な醜態を見てみると久しぶりに気持ち良かったんだなあって思います。

 

失礼しました。


2019.02.15
賄い

昨日もなんだかんだとあって結局賄い食べれず。まあ忙しいに越したことはないのでありがたいと思ってせっせと仕込みに励みます。

で。今日はその分野菜をがっつり摂れる料理を!食べたくなりました。で。久しぶりにちゃんぽんです。

とは言え大きなことは言えません。半分既製品です。ちゃんぽんのスープのベースとちゃんぽん麺は買ってきました。ただ野菜は有機の野菜をたっぷりと。

スタミナ満点。野菜満点。今日の賄ちゃんぽん!

大好物紅生姜もたっぷりと。

 

ごちそうさまでした。


2019.02.14
ヴァレンタイン

年々子供達からのバレンタインが先細り気味。まあしょうがないお年頃かも。

マスカルポーネや発酵バター、マルサラ酒など製菓材料の貢ぎ物(毎年なんかかんかオーダーがあるのですが)まあ。娘には甘いのは重々承知ではあるのですが、それにしても見返りが・・・。

今年は現時点で可南子さんがくれました。( ^ω^)・・・こうなっちゃいますね。娘に甘いのは重々承知であります。


2019.02.13
カワハギのリソット

リソットって全然でない。オーダーされないメニューで、このカワハギのリソットはACQUA PAZZA当時の定番であり名物の料理でした。自分も大好きな料理ですし、こんな料理が作れるように将来なりたいとあこがれる思いで先輩が調理するところを眺めるほろ苦い修業時代を思い出す料理の一つでもあります。

25年前日高シェフが三ツ星レストランのRISTORANTE DAL PESCATOREの川魚のリソットを日本の食材で再構築するにあたりいろいろ試行錯誤をしてやっとたどり着いたのがカワハギだった。と言う創作の苦労話も含め物語のある料理です。料理のルーツがしっかりとしていて、ちゃんと日本に根付くようにいい方向に改良された料理の成功例だと思っています。

料理のバリエーションの少なかったころはほんとよく提供していました。

近年、パスタのバリエーションが増えるとともにチョイスされない方の料理になっていきました。それとこれは想像の域を出ないのですが、時代が下ってくると同時にイタリア料理のレストランも増え続けていますが、一つはすべてのレストランが健全に機能していなかったり、手っ取り早い思い付きでやっちゃっていたりと、リソットってハズレをひいてしまう経験が多い料理のカテゴリーではないのかとも思っています。

イタリア料理=パスタ=スパゲッティ。昔より現在の方がお客様がなんとなく保守的になってきている感じはあります。

あとこればっかりはしょうがないのですが、一回で元を取ろうとするきらいも感じます。どんなお店でも、ましてや個人店ならばお店の癖や料理人のこだわりを食べに行くようなものだと思います。そこに一つの尺度を持ち込もうとする流れが一時ありました。そんなの面白くないのに。

50歳を過ぎた、いろんなことを経験してきて言えることかもしれませんが、振れ幅が大きい方の方が面白いって。ただ、マイナス側の振れを少なくするためにはそれなりの経験をしておかないと。せっかく目の前にあるだろうプラスを避けて通って行くのはちょっともったいないと思って普段過ごしている者としてはそこのところちょっと・・・かなっと思えてしまいます。

あともう一つ言わずもかななことですが、この10年携帯電話の発達とともにそこに携えているという安心感からか?何でも出来る。調べれるから。っていう安心感から人って考えることにブレーキがかかってきているように見受けられます。うちでの経験で言えば、『メニュー見ても全然分からないけれどなんか美味しそうだね。』これが20年前。『すいませーん。全部説明してください。』今です。『そういうこと言う人に限って人の話聞いてない。』これが由貴乃さん。

もし自分がそんな人に当たったら接客止めて帰ってきちゃうけど。なんだかんだ言って由貴さんはやさしい。

あとレストランて、何度か通って顔を覚えてもらって好みとか分かってくれてたりとか(はじめっから調子いい人って二度とこないので。これはこれ)はじめとっつきにくい人ほどお互いに分かりあえるとほんと近しくなれますし、そういう人ほど信頼しうる人間性を感じます。メニュー見ながら料理を想像する楽しみや、それをきっかけにお店の人に質問する・コミニュケーションするきっかけにもなりますし。それが出来るのがレストランや料理屋の醍醐味だと信じます。そういったお店はタッチパネルや、写真付きのメニューでもないでしょうから。

知り合いにイタリア語の先生がいるんですけど彼女も言ってた。『携帯横に持ってるんで、辞書持ってると思っているからやっぱり同じように考えなくなってきていると思います。』

これは余談。

昔から通ってくださる方には特に印象に残っている料理のようで、ありがたいことです。今回リクエストがあり、それでも2年ぶりの仕込みです。

それに最近よく新聞にも載っていますが、魚が獲れない。時期がずれてきている。食べる人が減ったり高齢化で漁師さんが減った。売れない雑魚は獲ってこない。などなど。以前は仕入れ先の魚伊さんでもわりと水槽で泳いでいるカワハギを見かけたのですが、ここ10年くらいそういった風景も変わってきました。

作り方はいたってシンプル。だからその勘所を分かって調理しないとできない実はとても難しい料理でもあります。

①カワハギ(本カワハギ/ウマヅラハギ)どちらでも良い。ただし必ず生きたものを用意。

②香味野菜を煮出したスープストック・クールブイヨンの中に活〆にしたカワハギの河を向いたものを入れ10分ほど茹で魚に火が入れば引き上げ粗熱が取れたら身をほぐしておく。カワハギの風味の出た香味野菜のスープは濾して冷ましておく。

③鍋にアッシェしたエシャロットをバターで炒めイタリア米を加えよく炒め白ワインを注ぎアルコールを飛ばしたら、温めておいたカワハギのスープを少しずつ加えお米を炊いて行く。リソットが仕上がる少し前にほぐしておいたカワハギの身を加え、しばらくなじませていきながら炊いていき最後にバターでモンテして仕上げる。

④お皿にリソットを盛リ、アサツキを散らす。

Buon appetito


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