2019.05.28
サフラン

今日届いたサフランパウダー。50g入りで2万円弱!数年前の約1,5倍に高騰してきました。でもやっぱ高級食材ってこのサフランに限らず、それでしか出せない風合いであったり説得力のある高いトーンに料理を引き上げてくれる力を持っていると思っています。それを生かすも殺すも料理人の腕如何?だからそういった食材を使えると思うと仕事に張りが出ますし、気合が入ります。料理人みょうりに尽きます。他が使ってないって思うし、この土地で俺が使わずして誰が使う。って思い出トリュフにしても、フレッシュのポルチーニ茸にしても短角牛にしても、シャランの鴨やピレネーの乳吞仔羊、クロムツ、甘鯛、シマツ(ヒラスズキ)・・・・って気合を入れて仕入れています。

すいません途中です。


鰆子で作ったボッタルガ。

このところ仕入れている鰆が5㎏ほどの特大鰆で何腹か腹子が入っていました。ちょっとあまりに立派だったので、ボッタルガ(カラスミ)にしてはどうかとチャレンジしてみました。で。今日仕上がった第一弾がこんな感じです。で。思った以上によくできていて、ちょっとびっくりです。なかなかな仕上がり。もちろんボラ子とは何となくですが風合いは違います。

甲斐路軍鶏の胸肉をさっと湯引いて、トレビスのサラダとジロール茸のラグーを合わせました。なかなかさわやかな仕上がり。これからの季節にぴったりです。


2019.05.17
修業時代、青春時代の思い出

むかしの話を一つ、二つ。

 

30年前って、渡航した当時日本で出版されている海外のガイドブックって今ほど整備されていませんでした。(今なら、自分は疎いですが、海外旅行するにしても・住むにしても携帯やタブレットまず、持ってればほぼほぼ情報収集って間に合ってしまうんでしょうね。いい時代ですよね)地球の歩き方が出版されてまだ日も浅くイタリア版も大雑把な情報だけだったころで、実際住んでいるとなかなか大都市ばかりの情報だと有用に機能しません。いっそのこと現地調達した方がとっつきは悪いですが(写真はほとんどなくほぼ活字情報なので)身近な、有用な情報を得られますし、まずそれにはイタリア語を解読しなくてなならないのでイタリア語の勉強もでき一石二鳥でした。

本当にこの二冊、“MICHELIN ITALIA”と“LA GUIDA D`ITALIA”は擦り切れるまで愛読しました。たぶん家のどこかに、初めて購入した`86年版各ガイドブックがあるはずです。で。さっき書いたことと矛盾しますが、この当時のこういったアナログ検索って時間はかかりますが、その分自分の身になるって言いますか、今でもその中のいくつかの印象に残る食べ歩きの旅ってやっぱ覚えていますもん。

あと地図もって適当なバスに乗って、まず終点まで行っちゃう!それもバスと運転手に怪訝な顔をされるくらい辺鄙な村が終点だったことがあって、勿論そんな村なんでガイドブックにも載らないような所で、でもそこの食堂のマンマが厨房で、お父さんがサーヴィスってイタリアでは割と当時普通な構成なんですが。そんな村でそんな定食屋さんですからお客さんも皆地元のおっちゃんしかいなくって、たぶん5年過ごしたイタリア生活の中でも3本の指に入るくらいディープな食堂(レストラン)経験。店内にはいったら何処のアジア人だって皆に一瞥られたような食堂だったんですが、そこで食べた真っ赤なトマトのマカロニと牛肉(ビステッカ)付け合わせに注文したサラダと安っすいワイン(赤だったか白だったか覚えてませんが)ある意味何の変哲もない食堂の料理なんでしょうが、今でも時々思い出すくらいに印象に残っています。普段勉強に食べ歩くカテゴリーのお店では全然なく偶然飛び込みで入った場末の鄙びた村の食堂でしたが、当時の自分のどこか琴線に触れたのでしょう。なぜかすっげい興奮して食べたのを今でも覚えています。ただ、今思うにイタリア人の根っこみたいな所に触れたことに当時の自分は興奮したのかもしれません。

 

 

 

で。ミシュランとかも将来的には“JAPAN版”で一冊になって、字と地図で構成されて、その町のちょっとした特徴を記述される。と言う本来あるべくミシュランの構成になって、そん中にうちも活字で記載されるように頑張りたいなあって思いました。


2019.05.16

出版前に来場者に一冊ずつ配布されたミシュラン。

乾杯の時のマス酒で、ミシュランの刻印付き。


2019.05.14
ミシュラン出版記念パーティー

中部国際空港フライト・オブ・ドリームで開催されたミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版出版記念パーティーに出席してきました。

こんなこと一生ないと思い、お店を臨時休業にして心置きなくパーティーを満喫してきました。

30年前、イタリア修行時代にミシュランは手放せないアイテム。一冊を定期的にチェックして有名なレストランや、まだ行ったことのない当時料理のメッカだった美食の町の多いピエモンテ州やロンバルディア州、はたまたトスカーナ州を中心にどんな美味しい料理を提供しているんだろうか、日本人は受け入れてくれるんだろうかなど、なかなか遠出の遠征などめったに出来なかったので、ミシュランを熟読しながら妄想していたのを今でも思い出しますし、現地イタリア版のミシュランは地図と字だけのガイドブックなので、はじめとっつきは悪いのですが、イタリア語の勉強もかねて想像しながら読み下していき、実際そのレストランを訪ねて行って食事をしたりして書かれている記事と現場のレストランがイメージしていたこことどのように違っていたかであり、思った以上であったりと今のようにネットで画像検索できるわけではなかったので、苦労して探し翻訳して時間をかけて何事も運んでいくわけですが、素敵なレストランと出会えてた時、そこで働いている同じ思いをもって渡航してきた同志の日本人のコックの仲間と出会えたりすると喜びもひとしおでした。

 

もちろん、当時まさか日本にミシュランが上陸するなんて想像もしていなかったですし、まさか自分がその末席に。と言うことも全くの、想像だにしていませんでしたから今日は本当に感慨深いものがありました。

 


2019.05.13
俎板の鯉

昨日豊橋市民文化会館で長唄演奏会があり、末席ながら演奏してきました。

長唄を始めてはや7年目になり、わが社中“松の実会”の公の演奏会は初舞台となりました。この3年ほどは、出演する社中全員参加、初級から上級、我々のような入門からほどない人、名取の方々からお師匠さん(先生)まですべての出演者全員からのお披露目的な演奏には出させていただいていたのですが、それぞれの社中ごとの演奏、松の実会のメンバーで構成された演奏に出させていただいたのは今回が初めてとなります。

今回出演した社中は4社中で12曲を演奏し約5時間に及ぶ演奏会でした。

さすが長唄です。一曲が20分前後あり、舞台を毎回出演社中の人数に合わせて幕間にセッティングを微妙に変えます。

もう前々から舞台が近づくにつれプレッシャーをかけられてきましたが、『本番の舞台には魔物が住む』であり『一度の舞台は1年分の練習より実りがある』・・・もちろん普段からお稽古をしていてって言うのが『』でついてになりますし、本番は普段絶対にお稽古中にしないことや、起きえないことが起きるって、散々脅されてきました。

第一曲目に執り行われた全員参加の演奏会は緊張はするものの自分も3年ほど稽古をしてきた曲で体にある程度しみこんだ“小鍛冶”と言う曲目だったので何とか大きなミスをすることもなく終えることが出来ましたが、本番の10曲目“連獅子”!一番気を使っていた所が、長唄って演奏中に3本ある三味線の弦のどれかどの調子を変えるって所作が入る曲があります。この“連獅子”は前半過ぎに真ん中の二の糸を一度上げ(本調子から二上がり)その後中盤過ぎにもう一度二の糸を下げる(二上がりから本調子)と言う所作をしながら(もちろん調子をその短い間に合わせて上げ下げをしなくては演奏に支障が出ます)何食わぬ顔で、さも当たり前のように演奏しなくてはいけません。

ところがです!で、その前に三味線の構造ですが竿(木です)に糸止め(白い部分ですが象牙です)なので、木の硬さと象牙の硬さをうまく利用してねじ込む、もしくは緩めながら止めるのですが、あまりぎゅうぎゅうとやると象牙なので折れるんです。これが高いんです。ですから力ずくでもダメ。やさしくすると糸が思ったところで止まらない。それを演奏中に瞬時にパシっと決めなくてはいけません。これが今回あろうことか、僕のところに魔物が潜んでいました!今まで一度も経験にないくらいに、はじめっからぎゅうぎゅうにねじ込んでしまっていました。怖かったんですね。すっぽ抜けるのが。二上がりに上げるのは今までだいぶんと練習してきていて、ほとんど失敗がないようになっていましたが、演奏中その個所に来てさあ来たよ。って思って糸巻きを掴んだところびくともしません。サーっと血の気が引きました。なんとかぐい。っと引き上げて演奏に入りましたが、頭の中で『弦を上げる時にこの硬さだと、ただでさえ苦手な弦を下げる段階で力ずくで下げるてすっぽ抜けると大変なことになる』って考えながら演奏するもんですから生きた心地がしませんでしたし、こんなに脂汗が出たことも人生初めてかもっていうくらい。いっぺんに自分の脳みそがフル回転、ブルース・ウィルスの映画ダイ・ハードの様に、赤だか黄色だかのサイレンがずっとなっているような気分でした。のちに帰宅して観に来てくれた三女千春と由貴さんに聞いたところ『演奏中ものすごい顔になっていたよ』って言われて『ハーっ。そうだったか』って、自分では頭をフル回転しながら何気ない涼やかなふりをしているつもりでしたが、現実は焦っているそのままが出ていたようです。

ま。それも演奏会の明日へ向けての収穫だと思い、また稽古に励みます。

演奏が終わって、ま。打ち上げでほっと一息。美味しくビールをいただけました。また明日から気を取り直して精進です。

 

“まだまだ修行が足りません”です。


2019.05.10
シマツ(ヒラスズキ)

大好きな魚の一つがこのヒラスズキ。いっときこの魚に凝って出るたびに購入していましたが、最近めっきり姿を見なくなりました。今回ゴールデンウィークに際して市場の流れが見えにくかったので保険をかけておいた

 

 

すいません途中です。


ほっと、一息

ほんとに、いつぶりでしょうか?お店から約一時間でこんな景色があります。渥美半島、太平洋を望む伊古部の海岸線です。

いつも厨房にこもりっきりで1日十数時間。忙しければバタバタと調理と片付けに追われ、暇なら暇でまとまった仕込みや普段やれない仕込みをこなす毎日ですが、ほんとにぽっかりと時間が出来ました。こんなの半年以上なかったでしょうか。降ってわいたゴールデンウィークのたわみとでも思っていいのでしょうか。

営業途中にふっと閃いたことを由貴さんに『このままランチお客さん(御一人でした)引けたら、お弁当でも買って海にでもピクニックデートにでも行かない?』って。こんなことめったにないんで由貴さん迷わずYesです。

水商売とはよく言ったものです。高いところから低い方に流れてゆく。って。これも料理の神様がたまには息抜きしろ。と、時間を与えてくれたんだって思うことにしました。

伊古部の海岸、ちょうど今日は少しガスってはいるものの、それほど暑くもなく、海風“そよそよ”で心地よい天候でした。海岸までちょっと散歩してから車中でお弁当です。偶然かけてたCDは荒井由実!はまりすぎ。

以前この海岸に来たのもかれこれ2年前くらいでしょうか?

ちょっとした時間でしたが、かなりリラックスすることが出来ました。

 

夕方こんな場所で過ごせたら気持ちいだろうな。って思いながら海岸を後にしました。さあ。リフレッシュできたんで、夜の営業、そして週末頑張ります。


2019.05.07
休日に

 

待ちに待った休日です。

四月の中盤から徐々に支度、準備をしてきたゴールデンウィークも昨日の営業で無事終えて今日が我々のお休み、振替休日です。

この年になった今(52歳)で、いま自分が使える仕事以外の時間の配分は、間違いなく家族ファースト。あと順不同で挙げてゆくと三味線(長唄)、読書、音楽や映画、落語、料理(仕事以外の)と、興味・時間を費やせるものがあれば一生退屈しない感じになっています。もっと言えば時間が足りないくらいですが、その隙間を縫って奥三河車で1時間ちょいのところに点在する日帰り温泉に、年にそれでも数回ですが、ちょっとした時間が出来た時に訪れる、山間の露天風呂に身を横たえる心地よさは格別です。もちろん大好きな渡合温泉にいつも行ければいいのですが、最近なんだかんだとご無沙汰です。

身近なところに気安く行けて環境の良い場所がある奥三河は最高です。

今日はさすがにゴールデンウィーク明けの火曜日なので温泉も穏やか。まったりした雰囲気で過ごしやすい状況は予想以上。それに天候と気候が抜群です。ここのところの疲れもだいぶん癒されました。

 

で、いつもこういった場所に来ると自分ばかりが飲ましてもらっているので、今日はいつもの償いとして由貴さんに飲んで寛いでもらっています。

で。自分は『お風呂上りはコーヒー牛乳かフルーツ牛乳でしょう!』で今日はフルーツ牛乳にしました。

 

 

心身ともにリフレッシュして明日からまた頑張れそうです。


2019.05.06
賄い 

久しぶりのちょっと穏やかな賄い。

巷で言う10連休。大型連休に伴う元号改定を含んだゴールデンウィークでした。

どちらにしても、うちらはずっと営業。に関しては毎年変わりません。市場がどんな風に動くか、人がどんなふうに流れるか、その見えない10日間をどうゆうふうに営業するか。毎年変わりません。

やっと、残り今日の夜の営業を残すのみとなりました。“明日は待ちに待った休みです。”無事に。滞りなく。ここまでやってこれました。

で。最後の晩餐。ではないですがささやかな祝賀会兼賄です。

 

“得意技・搾菜拉麺”・・・旨し。です。

”冷菜4種盛 茹で肉(短角牛)、ピータン、ジーマーミー豆腐、蕪の葉のごま油和え葱たっぷりと 胡麻醤油のソースと豆板醤”

 

今日は中華にしてみました。

祝杯用のVino frizzante malvasia dolceです。

頑張ったもん!ちょっとご褒美。

あと夜の営業をクリアーすれば明日はお休み。お疲れ様でした。


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