肉ブームと言われてはや何年たつでしょう。国内各地でいろいろな生産者の努力を目にすること、耳にすることも多く、自分が修業を始めて頃から激変していることの一つとこの頃改めて感じます。その経験値は食べてのお客さまにもかなり顕著にみられます。
ある程度大きな塊で提供しようと思うと、若いころは躊躇したり、売れずにへこたれたれ、紆余曲折いろいろありましたが、ある時点から開き直って(一つにはしばらく前からあまりにもちっちゃいポーションの料理・・・と言うか、不自然なカットや小ささ・・・と言うより生き物の摂理に反したカットの仕方、例えば牛肉の焼けた回りをけっずってしまってロゼに焼けた中心部分だけお皿に盛ったりする料理。周りって焼くための部位?って思わず眼をそむけたくなります。)カットするのは家禽類ならばできれば丸一匹で調理(ジビエ以外なかなか難しい)もしくは1/4骨付きもももしくは胸で調理。四つ足の仔羊や仔牛、豚などはなるべく骨ごとの塊で。さすがに牛は骨付きは難しいですが。
だって、トスカーナのビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(ステーキ)は1㎏以下では『そんなのフィオレンティーナじゃないから、食べれないなら別の肉にしときなさい』っていわれます。普通の200gからのサーロインやフィレのステーキあるんで。やっぱりその厚さや大きさでカットして調理しないと味わえない風合いってあるので。やはりそれなりに食肉の歴史にさらされてブラッシュアップされて生き残ってきた料理法だけのことはあります。自分も一度だけフィレンツェでフィオレンティーナ食べたんですが、いまだにその時のことは忘れられない食事になっています。
昔は、お客さんの言いなりな部分もあったので『あ。そうですかじゃあ小さく切りますって。』でもそれって今思うとかえって親切じゃないんですね。
それなりの価格の食材をそういうカットにすれば値段は上がりますが、そうゆう理由の元で成り立っている料理なので、それを分かった人が食べればいいんじゃあないかって。それとは別に普通のポーションで美味しい料理を用意すればいいんだと。
それにイタリアでさえフィオレンティーナを食べに行くときは、ほかの注文を控えてオーダーして、肉を食べ終わってから様子を見てパスタやチーズを食べればいいんですから。もちろんコントルノの野菜もたっぷりと食べ、ワインも飲むでしょうからそりゃあイタリア人だってそうめったやたらに食べれるもんじゃあないですから。
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