夏の暑い時期になると提供するこの“ステファノ風”サラダ、派手さはないのですが、いろいろな夏野菜と短角牛の茹で肉、チーズが入っていて酸味もばちっと利かせているので食欲が落ち気味のこの季節には最適の料理だと思っています。
イタリア語で『カンパ二リズム』・・・日本のニュアンスで言えば『地産地消』であり『四里四方に病無し』、教会の鐘が聞こえる範囲、その小さな世界で完結した郷土料理。四里四方に病無しの精神。身の回りで取れる食材を食べていれば病知らず。
真夏に採れる野菜類を食べると体を冷やす効果があり、冬の寒い時期の野菜(根菜類などは)人の体を温める効果がある。って言うことを暫く前に聞いたことがあります。
で、この料理のは、実はカッチャーニの賄料理がヒント。当時の料理長が当時ダイエットのため食事制限をしていました。病院で処方してもらった食事メニューに沿って彼だけ別メニューの賄でした。スタッフすべての賄はいつも彼が作っていました。手際よくお昼の営業前の賄、20人弱の食事をぱっぱと美味しく毎日作ってくれました。今でも。と言うか今だからこそ毎日頂いていた賄は僕の料理を作るうえでの根っこを形成してくれた大事な経験でした。
とは言え彼はそれとは別に自分のダイエットメニューを毎日作っていました。毎日にほぼ同じ料理だったのですが、そのメニューは、ズッキーニと人参、じゃが芋などをくたくたになるまでボイルしたものとサラダ菜、モッツアレラチーズとブイヨンの茹で肉をオリーブオイルとヴィネガーで和えたサラダでした。ただちょっとびっくりする量を食べていました。ある時シェフに聞いてみました。『シェフ。ダイエットなのに量は食事制限にないんですか?』って。そしたら『この茹でた野菜を使ったサラダだったら量はいくら食べてもいいって指導を受けている』ってことでした。でそのサラダをイメージしたのがこの料理。シェフの名前がステファノだったので“ステファノ風”に命名しました。
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