2019.11.13

賄いの“地鶏と茄子のレッドカレー”



禁じ手 甲殻類


短角牛タリアータ 白トリュフ風味

2019.11.11
Tartufo bianco

今年も白トリュフのシーズンになりました。超がつく高級食材ながら毎年ご予約をいただける何組かのお客様がいらっしゃるので、こんな地方都市でも毎年なんだかんだと言ってもシーズン中に500gほど使用しています。

今日その第一弾が入荷してきました。

“カワハギのリソット”

これも思い出深い一皿です。ACQUA PAZZA日高シェフのスペシャリテで、元はRis, Dal Pescatore(Canetto sull`oglio)でミシュラン現在3つ星(修行当時は1つ星か2つ星の頃だと思います)。日高シェフが修業していた当時提供されていた川鱸か何か川魚のリソットを日本ではなじみがないと言うことで、いろいろと海の魚を使って試作を重ねてたどり着いたのがカワハギだったそうで、現地の仕込みの手順そのままに日本のカワハギで表現した現地の味。と言うシェフにとっても思い入れのあるプリも・ピアットでした。

 

初めてこの料理をACQUA PAZZAで試食した時はほんと吃驚しました。仕込みの手順はものすごくシンプルなのに、ぱっと見、鍋の仕上げの雑炊のようにもみようによっては見えるのですが、一口口に含むと全く別世界。イタリアのポー川流域の景色が浮かんでくる素朴でいながら洗練されています。

なかなか現地の料理を食材を差し替えてこんなクオリティーってできるものではありません。もっと言うと、そのまんまの食材を使ってもイタリア風にはなりますが、向こうの風を感じる。はたまたイタリアの風景が浮かんでくるような料理ってそんなにたやすく出来るもんやあないからです。

ほんとにいい料理って、勘所を押さえてあるので、思ったほど難しくなく出来ていて、それでいて完成度が高い。まさにこのお皿がそれでした。ただシンプルな分調理する時には結構集中力がいります。ちょっとした加減で風合いがガラッと変わってしまうからです。

丸々あとこのお皿で嬉しいことは、今回もそうなのですが、リクエストをしてくださるお客様がいる料理と言うことです。レストランの料理ってあながち『美味しかったよ!』で、通り過ぎて行ってしまう料理が多いような気がしています。そこは昔から何となく感じていて、よく例えるのですが、居酒屋なんか行くとどて煮とお酒とあと2品くらい。うどん屋さんでも○○うどんとか○○蕎麦とかマイ定番みたいなものがあるのに、イタリア料理店ってなんとなくお任せで出されたものを食べていく。って言うイメージを崩したくって、どうやったら印象に残る。うちの定番料理。また食べたくなる。そんな料理って日本人にとってどんな料理があるんだろうって考え続けていた時期がありました。

 

 

すいません途中です。


かけがえのない時間。きらきらした時代

先週のTBS情熱大陸で東京中央区の“寿司すぎた”さんが取り上げられていました。知らないお店でしたが、番組ののっけから「寿司に人生掛けているのでTVのパーツにされるのであればうちは取り上げてもらわなくて結構です。」と言われるだけの仕事をTV画面の端々に感じれる仕事ぶりに感銘を覚えました。

ある意味、そこまで上り詰められた人なら当たり前なのかもしれません。自分が番組途中から目に留まったのはそこに修行に来ているスタッフの引き締まった顔付きと真剣な眼差しでした。この業界開業しての10年の生存率ってほんと低いんですが、20歳代にちゃんとした修業の時間を取って、それもあんな真摯に自分の仕事とお客さんそしてスタッフ、勿論仕入れ先の業者の方々に対しても。って言う親方の背中を見ながら数年間を過ごすことが出来れば、それは宝物のようなその若者にとっての財産になると思いますし、将来お店を持った時、いかなることが起きても乗り越える原動力になると思います。もし何かの理由で違った道に行ったとしても、乗り越えて行けるでしょう。

もちろん光と影。コントラストの強い分そこでの生存競争であったり自分の葛藤やプレッシャーのはざまで最初の志が揺らぐのは当たり前でしょうし。その中で何とかバランスを保ちながら這うように一歩ずつ日々を過ごす。そんなことができるのも20歳代だけです。自分も東京修業時代ACQUA PAZZA時代毎日のように辞めたいと思っていましたし、勢いのある有名店には全国から血気盛で才能のあるスタッフが集まってきます。その中で日々立ち続けるのってほんとにエネルギーがいりますし自分を持ち続けるって大変だ。って突き付けられもしました。久しぶりにこのTVを見てそんな修業時代のヒリヒリした感情を思い出しました。頑張れ!って。

今は日々の重圧の中で苦労やしんどさの方が勝ってしまっていて、喜びって感じれないかもしれませんが時間が経つと、あ。そういうことだったのか。って思えるようになることもあります。若い時にヒリヒリした時間を過ごした人ってその後の人生に絶対後から利いてくるものを持っていると信じています。

先日ご近所の正木さんの農場に野菜をいただきに行き、ちょうど20歳代の修行の話になりました。お互い、その修業の時間はかけがえのない時間だったけれど、もうあの頃には戻りたくないよね。って同感し合いました。

いつも思っていることがあります。『目の前の人参には手を出すな』って。そんな簡単に実のある実りには手が届かないぞって自分に戒めを込めて。

 

小田和正さんの”TIME CAN WAIT”って楽曲、時は待ってくれないの逆説で、夢を追いかけてる人のために待ってる。って言う話を聞きました。努力がすべて報われるわけではありませんが、諦めなければいつかは手が届くと思っていますし、それを信じて過ごしているつもりです。

何はともあれ今踏ん張っときなさい。頑張れ!です。

 


2019.11.09
由貴さんに感謝

今日の仕入れ。

・フレッシュのポルチー二茸 2㎏

・カラスミ 3,8㎏

・短角牛サーロイン 1本

この今日の仕入れで今日の一日の売り上げを超えています。もちろんしばらく先の見込みの仕入れであり、カラスミにしてもいつも入荷するわけではないので、突然入荷の連絡が入りその場で判断するわけですが、よりによって今日仕入れが重なってしまいました。ほんと奥さん(由貴さん)には感謝しかありません。今は分かりませんが、以前はフラスカティは高いってよく言われていましたが、今では気にしていませんし、当時それを逆にエネルギーにしてなにくそって思ってやってきました。分からん人にはかえって来てもらっても困りますから。

たとえば自分が高級車とか乗り回していればそんなこと言われたら、ま。何もい返せませんが、自信をもって自分なりに良い仕入れといい仕事が出来ていると思っていますし、結果的に料理の売価もそれなりの値段になってしまいますが、利益を必要以上にとってその値段になっているわけではない、もともとそういった食材で調理した料理と言うことをわきまえて来店されるお客様は応援して下さるような方ばかり。言っては何ですがこの値段でこのクオリティーの料理が出ているところがあれば行ってみたいです。

ほんと、先日のディナーもメイン料理で出た食材がホロホロ鳥と、短角牛、青首鴨と雉、魚がエイです。店主が店主なら来店されるお客さまも皆変態!です。

とは言え、苦節21年!開店当初は骨付きの名古屋コーチンでさえダメ、羊(ラムチャップ)、鴨、トリッパ、なんかけちょんけちょんに言われました。牛であればすべてよしな雰囲気でした。ほんとめげました。長年かけて堀を埋めてきましたし時代も追いついてきた感は多分に感じます。食材の選択肢も増えましたしその分競合店も増えました。ただ自分としては、いろいろお客さんの方でも経験していただいてその中から選んでくれる方が自分としても好い時代になったと思っています。うちに合わない人が来店される辛さってないですから。

そういう意味ではそんなには変わってはいませんが、以前へこんで『なんでこんなに豊橋の客さん来んのかなあ』って愚痴ったら、『あなたの働いたお店どこも地元のお客さんが主流ってお店一件も働いてないでしょ』って言われました。

ACQUA PAZZAのオープン当初のキャッチコピーは『ワンランク上の。レストランを使い慣れた方のためのレストラン』でしたし。フラスカティRis,Caccianiやマレオ村のAlbergo del soleももちろん地元にも愛されていましたが、そこを目指してくるようなレストランテでした。そう思うと自分も修業先のレストランの料理哲学だけではなくそう言ったDNAを知らず知らずのうちに引き継いでいたと由貴さんの言葉で改めて気付かされました。

今ではそういった迷いの時代が過ぎ、自分の仕事にまい進できる状況がだいぶんと整ってきたように思います。そういったことを見てくださっているお客様の為にも。こういったよい食材を持って来てくださる業者さんの為にもちゃんとした仕事を心がけていきたいと改めて思っています。

 


嵩山の風景

ほんの2,3週間前まで半袖で過ごしていたって思えないほど、ぐっと秋めいてきました。

なんか、しばらく身の回りの景色って見てなかったな。って今日気付きました。


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