そしてTVに映し出されるスズキコージさんの生き生きとした筆致の絵からは、人に媚びるとか、受けを考えてとかみじんも感じません。ご自身が感じたままをキャンバスに描き出しています。子供だけではなく大人のファンも多いのもうなずけます。
こんなご時世ですが今週、うちの営業も少し明るい兆し、卒業や合格祝いの食事会、少しでも早くのその状況の終息を願ってなのか、普通の生活をを少しでも過ごそうとの思いか、様々なご家族の語らいを肌で感じることが出来ました。普段そんなに多くないご家族での来店が例年ですとこの時期は多くなります。今年はあきらめていましたが今週は多く来店され、帰り際にお子さんがニコニコしてお帰りになり親御さんがそれを見守る姿は疲れを一時忘れさせてくれます。
誰の為に自分が存在しているのかを仕事を通じて認識していることの素晴らしさについてちょうど今日お馴染みのお客さまにも言われました。そういった感覚で仕事をするようになるまで何年も何年もかかりました。実際そんな感覚になったのはここ数年のことです。この世界に入って34年。お店をオープンして22年。この20年余りでもいろいろな負の出来事がありました。表面的な営業だけではなくお店のバックヤード的な食材調達の分野から見ても決して平たんな日々ではありませんでした。
今現在はコロナですが、20年前はヨーロッパの狂牛病、口蹄疫で輸入が始まり始めていたヨーロッパの四つ足の食肉輸入が白紙になり、その後その時点に戻るのに10年以上後退しました。その後宮崎を中心とした国内の狂牛病の発症で、お付き合い先の業者さんから当時の現地の生の状況を直接何度もうかがうことがあり、身につまされるようなお話がいくつもありました。その後も国内、ヨーロッパの鶏インフルエンザで、つい最近まで2年ほどヨーロッパからの家禽類の輸入制限がありやっと解除されたばかりです。今はあまりニュースにはなりませんが、ここら辺、地元を直撃した豚コレラ!食をめぐる負の遺産は2年と開けず僕らの周りに起こってきました。
うちみたいな仕入れの仕方(少数精鋭の仕入れ先)ですと、もちろん作り手の顔がダイレクトに浮かびます。
いかに日々の普通の営みが大事なのかと日々突き付けられる環境に身を置いている実感があります。もちろん遠山さん正木さんなど身近に、まっとうな野菜を作ってくださる方の背中を日々感じれる環境もあります。若いころの自己満足的な料理観はお店を営む中でどんどん剥がれて行きました。顔の見える食材を使い。顔の見えるお客様と対峙していく中でそういった感覚が必然的に生まれてきたというよりも、いろんな鎧っていたものが剥がれ零れ落ちて行ったからだと理解しています。
今日このスズキコージさんの絵を見て。70歳を超えての佇まいを見て、生き様を垣間見たような気がしました。なんかちょっと琴線に触れる朝のホックリするひと時でした。
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