無言館を知って20年。訪れたタイミングもある意味こんな時代だからかえって良かったのかも。
打ちっぱなしのコンクリートのシンプルな建造物である”無言館”。館内は上から見るとちょうど十字架にデザインされた展示室のこじんまりして窓もなく、足元に窓の代わりの切込みがあり、美術館を囲む林の木々の生え際が意識しなければ視界に入らないように配置されています。そこから人のまばらな(うちら夫婦ともう一組熟年カップルのみ)館内に静かに聞こえてくる蝉の声が、戦没画学生の展示されている作品に遠くから寄り添い、鎮魂の念を送っているようでもありました。
静かに自分と向き合う時間、こんな時間この数年ありませんでした。あえてこんな時期にとは頭の隅に引っ掛かかりながら、思い切ってやって来ました。帰る頃になってやっとずっと出かけることに対してもやもやしたわだかまりが付きまとっていました。でもやっぱり思い切って出かけてきてよかったかなと。
質の良い時間って日々の生活にかまけて居るとなかなかそんな時間って感じることってありませんし。またこれからを乗り切っていくためにも。必要な時間だったと思えるためにも。
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