初物のグリンピースをベーコンと生ハムの風味をつけてローマ風に煮込みます。
お店の”季節の定番料理”って、うちの店にもお陰様でいくつかあります。うちで提供しているどの料理にも自分の思い入れがあります。修行中に研修先て供されていて感銘を受けた料理や、食べ歩きや旅先で出会った様々な料理との出会いを長年かけブラッシュアップしてきました。
地元で手に入る食材を使って、イタリア料理の技法を使いつつ、この土地のお客様にすっとなじむように自分がそれらの料理と出会ったときの体温みたいなものも再現できたらって思いも込めて。それはこっち側のアプローチ。
で、そのお皿が認知され頭一個出た感じになるためには、やはりお客様にもまれて育てていただくことが必須です。
この季節で言うとこのグリンピースを使った”そら豆とグリンピースのタリアッテッレ ローマ風”とか”アオリイカとそら豆、ルッコラのマリネ”あと冬の食材の”白子のムニエル ローズマリー風味”なんかです。
断トツなのは夏の料理になりますが”絹姫サーモンと桃のマリネ レモン風味”で、帰り際のコメントも一番多いです。
それに割りのシーズンが長く提供できて飽きさせない魅力を感じているのが”黒トリュフのルチア風タリアッテッレ”や”蛸とジロール茸の温かいアンティパスト”それに”お魚と蕪のマリネ 自家製ボッタルガ風味”などはその食材のある間はレギュラーとしてアラカルトやお任せコースの核になるお皿たちです。
こうして長年この土地の食材と向き合ってああだこうだとやってきて見えてきたことは、やはりその土地の季節の食材で、その土地に根差した調理法で作られてきた料理って言うのは飽きがこないって言うことです。
若いころ力任せに作っていた料理は今残っていませんし、自分でも振り返れないし覚えていません。逆にずっと作り続けてきた料理ってお客様絵の認知度も高いですし、食べていて疲れないし、季節の地元の食材を使っているので、体にスーッと入っていくし、そもそも体が欲する食材だと気づかされます。残っている調理法ってやはりうまく出来ているってことにほんと感心します。残っていく何かがあるのでしょう。
|