2019.01.31

毎年のことですが、12月から一転、正月の連休が明け市場が普通に動き出すと一気に食材が春めいてきます。もちろんこの時期が一番寒い時期ではあるのですが、食材の季節感としては12月にないものが一気に、音と立ててとまでは言いませんが、大きく変化を始めだします。もちろん寒のこの時期の美味しいものとして浜名湖の蛎や真鱈の白子、それと並行して春っぽい食材も出荷され始めてきます。例えば浅利(浅利は一年中ありません。半年もないくらい。近年不良のためほんと一瞬と言う年もあるくらい)アスパラももう一ヶ月もしないくらいで収穫が始まります。そしてこのフキノトウ。

定番になってきました。このフキノトウとリコッタチーズのラビオリ。

不思議なことにイタリアでは割とどこでも見かける料理である“ほうれん草とリコッタチーズのラビオリ”だと出ません。その分フキノトウと言う季節感を持った食材だから出る風味を味わえると言うことがオーダーされる要因なのだろうと思っています。これからしばらくラビオリづくりになります。

軍鶏の炭火焼き

しつこく提案してきました軍鶏料理です。一時期ことごとく鶏はだめです。って言われ続けたことがあり、めげてしまって・・・、でもそれよりもしんどかったのがこの軍鶏だけではないのですが、うちの食材って結構受注発注が多いので、オーダーする=屠畜(命をいただく)と言うことに直結しています。ですからせっかく仕入れてもオーダーされなければその命が無駄になると言うことでもあります。それが辛くてしばらく休んでいましたが、この秋くらいから復活

自分としては自信を持ってお勧めできる食材ですし、蛇足ながら日本に入ってきている食材の中で国産・輸入にかかわらずただ塩をして焼いただけで美味しい食肉ってそんなにないと思っていて(ただ業者をいとわず、節操なく集めるだけであればもう少し幅は広がるかもしれませんが)長年かけて構築してきた関係性の中で自信を持ってお勧めできる。となると今うちが持っている食肉はかなりなレベルだと思っています。

そしてこの甲斐路軍鶏は以前どのくらいのクオリティーか確かめたくて、有名どころではフランスのブレス産プーレ(若鳥)やプーラルド(雌鶏)なんかもとってみましたが、もちろん美味しいです。それらフランス産の鶏と比べてみて、そこまでの値段を出さなくても、もっと言えば身近な生産地でここまでのクオリテー、ポテンシャルを持った食材であったことだと気づかされ、かえってびっくりしました。正直家畜類で食肉の歴史の長きヨーロッパに太刀打ちできる食材が国内にどれだけあるか?と近年は思っていて、(日本の食材は日本の料理には間違いなく向いています)前にも書いたようにさっと塩をして炭火やフライパンで焼くだけの調理法に向く国産の肉はかなり少ないと。鶏肉に関しては日本でも歴史があるからなのかこのクオリティーまで行くと世界に通じると思っています。

焼き鳥の食文化に向かって生産されてきている日本の鶏食肉の方向性から鑑みてもこの甲斐路軍鶏は炭火焼で行くべきと思って、この秋からお勧めで取り始め(再開)したのですが、今回はほんとに差し替えがなくなっていて、逆に今までは何だったんだろうと思ってしまいます。でもお客様の評判もいいようなのでこれからも焼いてシンプルに美味しい。噛みしめて美味しい肉。

 

すいません途中です。


2019.01.27
ひとの本棚

こういう仕事をしているからかもしれませんが、利害関係とか関係ないお付き合いをする友人知人、ま。やっぱり腹を割って付き合える人間関係しか自分は必要としていないからかもしれませんが、ほぼ休日家族ファーストで生活のリズムを過ごしていながら、いざ出かけるとなると、そういった交友関係の中でご自宅に泊めていただくことが出かける比率に対し割と多い方なのかなあと思うことがあります。そうした時に興味あるのは人の本棚。もちろんまさぐったりはしませんが、こんな本読むんだ。とか、漫画とか読むんだ。なんて。

興味ある人から進められる本ははずれがありませんし、全く違った視点での紹介本なので切り口やジャンルも自分じゃあ手を出さない本も多く、楽しく拝読させていただき、自分の狭い視野を広げてもらっています。

あとそれ以外の自分の情報の仕入れ先は、新聞の書評とラジオ。

書評の方はかなりエッジの利いたセレクトなので、ま。こんな本もあるんだ。と。ほんのたまに自分の持っている本や知っている作家さんが取り上げられていると嬉しくなりますが。

で、もっぱら仕入れ先はラジオ。やっぱ。興味ある俳優さんや何かを極めた人の書いた本や好きな書籍は力があります。ちなみに音楽もラジオから。FM NHKしか聴きませんが。(例外が山下達郎サンデーソングブック)

先日もラジオを聴いていてある作家さんが語っているところで気になった一節『現代の人ってやはりなにがしかの閉塞感にさいなまれていますよね。でも理系の人っていろんな技術がどんどん開発されていく喜びを感じているから割とポジティブですよね。それに反して文系の人って歴史から鑑みて物事をとらえようとする傾向が強いから、どうしてもネガティブになってしまいがち。』で。そうかポジティブになるには理系か!で。ちょっと意識して理系の本も取り混ぜて読んでいこうと。

先日BSで【最後の授業】っていう番組で学生さんに向かって講義をしていた福岡伸一教授の番組を見て自分としてはかなり共感したので、じゃあまずはこのあたりからと彼の書籍【やわらかな生命】を購入。内容は週刊文春連載エッセイの書籍化されたもので、生命科学をとても分かりやすく“福岡ハカセ”独特の感性て綴ってくれています。

初めての作家さんの文体になれるまで少し時間はかかりますが、本の中に出てくる好きな作家さんとか共通項が多く割と早く彼の文体になれることができ、しばらく自分でも離れていた作家の須賀敦子さんを思い出すきっかけにもなりました。

ちょっと本腰入れて読んでみようと言うことで、須賀敦子全集第一巻!を購入。

全10巻くらいありましたが、まずは一冊。と言うのもちょこちょこばらで文庫本は買ってはいたのですが、全集にはさすがに全部彼女が残したエッセイや日記なども網羅されているという感じだったので、ものぐさな自分としては抜け落ちずに彼女が残したものを揃えれると踏んでまずは第一巻を購入。

こんなに厚くて1100円!って、遅読の自分としてはこの価格で1ヶ月くらい楽しめる。安い。と思ってしまいます。

 

須賀さんはイタリア滞在時期としては自分の20年くらい時代的に先輩で、今こうやって帰国して30年余り経過し、彼女の文章から読書体験を通して俯瞰し、忘れていた記憶や匂いがふっと、それもおいて置いた(忘れていた)時間の長さの分逆に醸しだされて出てくるような感覚を彼女の文章は僕に与えてくれます。

自分が渡航した`86年当時はまだイタリアらしさや大らかさ、勿論猥雑さや喧噪。今はEU統合から画一化してきているイタリアでさえ、当時の先輩や周りから教えていただく’70代の香りや気配がなんとなく残っていて、自分が過ごした’80代の剣呑とした雰囲気、肌触りも、彼女の文章に触れ時々ふっとよみがえるその時のひりひりとした感覚。なぜか自分の思い出に触れている心地よさがあります。

特に近年、料理を作っているうえで心掛けていることは,なかなかイタリアには戻れません。その分当時の記憶をたどることをしています、勿論Ricetta(レシピ)も大事なんですが、彼ら、イタリアの友人たちならどういうふうにこの料理、食材を捉えていただろうか。彼らの土地ではどうやった調理を施すだろうか。って考えていくうえで、その住んでいた頃のもがいたことやあらがったことの熱量を今料理をしていくうえで料理にどれだけ込めれるかがその料理の寿命の長さや料理の奥行にもなっていると感じていて、その記憶を手繰るのに古いノートや、当時買ってきた書籍。今文明の利器パソコンのTripAdvisorも利用しながら、それらを手掛かりに自分の中に眠っている引き出しの中の記憶を見直していきます。

須賀さんの言葉を借りると【さして大きくない都市に、半年近くも仕事をもって家をかまえるとなると、一応観光客とは一線を画したかたちでその土地にかかわることになる。しかし、それまでにもイタリアでいくつかの大都市、あるいは小都市で一定の期間を過ごし、それぞれについて自分なりの理解を持つなり、理解に到る方法も身につけたと自負していた私は、今ナポリにきて、・・・】とあります。

この一文に触れて、いま自分の中のまた別の場所の引き出しの鍵に出会えてたような気がしています。

とは言え。なんだかんだ言って理系に行ったはずがまた思いっきり文系の書籍に戻っています。ま。行きつ戻りつ兎より亀で行きます。

 


再再 映画”ボヘミアン・ラプソディー”

年に数回土曜日でも拍子抜けするような日がありそれが昨日でした。それも結構早く引けたのですかさず片付けをすませ21時開演のレイトショーに何とか滑り込み、昨夜で3度目の映画”ボヘミアン・ラプソディー”を観てきました。1月だけで3度も。と言ってもほんとに年末年始と忙しく、通常であれば一気に冷え込む1月の営業が今までにない盛況で、心と体も結構悲鳴を上げていましたし、先週はうちでもインフルエンザでその健康面でのケアーや家事のやりくりで由貴さんも結構へとへとになっていました。

昨夜営業中に『もしこのままで終われば行く?』帰ってしまえばそのままぐずぐずと疲れを引きずってグタグタとしてしまうのが落ち。時間も早いのでいっそのこと自分たちの充電の時間にしようと。

この年になってこんな熱い思いになることができるなんて思ってもみませんでした。でも。それと。この映画はやっぱり映画館向きの映画じゃないかと思っていて、今後借りて来たDVDじゃあこの迫力、映像の力を100%で感じられないんじゃあないかと思っていて、何回観れるかわからないですが時間が合えば映画館で何度か観ておきたいと思っていました。

自分は理解力が遅いから今回3度目でやっとちゃんと観た感を味わいましたし。ラスト少し前、今回は背中がゾゾってなりました。

さすがにロングランとは言えもうそろそろ放映は終わるでしょうが、今までの人生で映画館に3回も行った映画はありませんし、2時間半の時間経過を感じさせない映像の説得力のありようには何度観ても感心します。

やっぱいい映画はいいですね。


2019.01.25
今日のごちそう

これも言ってみれば“モンテ・エ・マーレ”(山の幸と海の幸)です。3段くらい上にはなりますが、伊勢海老とフレッシュポルチーニ茸のパッパルデッレです。

どうやったって美味しいに決まっています。

10月から使い続けている真鱈の白子。うちのこの季節の定番で、短角牛と同じようにお客様方がそういったポジションに引き上げて頂いたお皿になります。

もう、2月になると終盤も終盤で提供できる日も秒読みに入ります。


初物の三河湾産浅利を使ったスパゲッティ・ヴォンゴレ。

軽く燻製にした本メジマグロ、有機野菜のマリネを添えて。

奮発しました。三重県産の鮑。


今日の厨房より

豊橋有機の会の元気野菜たっぷりのミネストローネの仕込み。

 

イカ墨のクロスティーニ。

三河湾の浅利。今年初物。


2019.01.24
Pappardelle ai monte e mare

年末までに大量に仕入れておいたポルチーニ茸。半分はドライポルチーニにして冷凍ストック。半分はオイル煮にしてフレッシュポルチーニとして各種料理に多用しています。

甲殻類との相性がいいこのポルチーニ茸、パスタではやはりこの海老と合わせてローマ風の“モンテ・エ・マーレ”(海と山の幸の組み合わせ)です。


pacco 国際郵便EMS

日本に住んでいると当たり前すぎて気付きにくいことの一つが食事の多様性。朝食の食卓にはトーストに卵料理あり、シリアルやヨーグルト、味噌汁にご飯に納豆。お昼は蕎麦にラーメンはたまたパスタ。晩御飯は、ハンバーグ唐揚げ豚カツ。鍋に。八宝菜。麻婆豆腐。すき焼きしゃぶしゃぶ、お刺身。書き出せばきりがありません。何気なく普通に和洋中とバリエーションに富んだ生活の中に浸透した家庭料理があります。

今日も自分が家を出る時にばばが『今日の晩御飯何にしようかな。魚か。肉か。って言っても、この辺のスーパーじゃあいい魚売っていないし。食べ盛りの孫たちはやっぱり肉の方がいいだろうし・・・。』で。結果今日の晩御飯は豚カツでしたが・・・。

イタリアに住んでいた30年前、当時の一般のイタリア在住の日本人家庭事情を聞いた記憶では、料理上手な主婦の人たちが自宅でいろんなものを作っていたと聞きます。例えば味噌。豆腐。もやし。納豆。家庭菜園でイタリアにない野菜白菜。葱。大葉。胡瓜やナスは品種が全く違ったりと。調味料なんてかなりやりくりされていたと思います。味噌醤油なんてとても貴重。帰国するたびに必需品として持ち帰るのにも生活レベルで考えると結構かさばりますし。何せ重い!

この豚カツを作るにしてもパン粉がイタリアにはありません。カツレツミラノ風に使う目の細かいパン粉なら売っています。もっと言うと食パンがない。唯一打っているのがパンカレと言うぱさぱさのちっちゃな食パンに似たパン。そこから違います。もちろん豚カツソースなんてありません。マスタードはあるけど辛子もありません。豚カツ一つとってもそういう状況でした。

自分が勤めていたローマの商社日伊興産は当時ヨーロッパでいち早く日本米を現地の農家と提携してコシヒカリを生産させてイタヒカリと言う銘柄で販売していました。だだ一般の流通はまだなく、当時の在住者は日本人の主食であるご飯(お米)でさえメルカートで数ある外米の中でうるち米に近い品種のを探してきて家庭で食べているような状況でした。

その日伊興産の経営する和食部門のバックヤードであるセントラルキッチン部門に当時勤務していた自分の仕事は、レストラン東京とにっぽん屋と言う二軒のレストランで使用する豆腐。こんにゃく。厚揚げ。ラーメン。うどん。豆腐。などの製造。たまに入荷する地中海鮪の加工。また、社内別部門である観光部門で働く販売員の女性たちと営業の男性社員の賄用弁当製造を自分んともう一人の厨房のスタッフで賄っていました。そんな当時のローマではかなり日本食材を潤沢に使用でき、日々摂取できた環境でしたがやはりソールフードと言うか食べたい料理や懐かしい食べ物の話は尽きません。当時の同僚たちとなけなしの小遣いで安くて美味しいトラットリアやピッツェリアでワイワイやった帰り道なんかでお酒が入るとそういった感情が特にわいてきます。当時よく話したことは,『ねえ。ねえ。日本帰ったら何食べたい?』です。当時自分は秋になると大根おろしをたっぷり添え醤油を考えずにひたひたにかけた秋刀魚の塩焼き。居酒屋のカウンターでビールを飲みながら焼き鳥、土手焼。和菓子。日本のパン屋のクリームパンやアンパン。などでした。

あと自分の勤務していたセントラルキッチンはポポロ屋と言う食料品店を併設していました。そこが当時ローマで唯一の食料品店でしたが、カップラーメンが一つ500円。味噌や醤油は約1000円。自家製の豆腐も500円くらいしたでしょうか。新鮮なモッツァレッラが250円くらいだった時代です。当時のトラットリやピッツェリアでワインを普通に飲んで一人2000円から2500円と言う物価でローマの日本料理店では4000円近くかかります。1.5倍から2倍のイメージ。自分は当時から休日は安いお店でいいから現地の料理を食べると決めていたので、一度も自腹では日本料理店に入ったことはありません。どうしても醤油っけの料理が食べたくなると華僑の人たちの経営する中華料理店に行っていました。2000円くらいで食べれたので。

そんな状況がその後30年でどこまで日本食材が増えているかは今の食環は分かりませんが、その後もずっとイタリアに住み続けている二人のお世話になった方、一人は当時のポポロ屋の店長さんで現在はローマ六甲と言う日本料理店のオーナーの佐々木さんと綿貫画伯のお二人に今週少しですがこちらのものをお年賀として送りました。JAに出ている地元農家さんの自家製漬物。ちりめんじゃこ。ちりめん山椒。塩辛。鰹昆布。ゴマ豆腐。お茶づけの素。アンパン。などなど。セーブしながらなるべくバラエティーに富むようにとパッコ(荷造り)を構成。国際郵便のEMS小包約4㎏でイタリアまで9000円也。高いか安いか?また別の話。

日頃のご愛顧、思いが1万円弱で届くと思えは安いもんです。日本を離れて海外で生活しないと分からない思いだと思います。数日食卓が華やげばとの思いですし、海外で生活していると何げないエアメールの便り(自分は経験したことはありませんでしたが食品や書籍などの小包)が届くことは想像以上に嬉しいものです。

これでやっと自分の年末年始、正月の公私ともにすべての行事・やんなくちゃあいけないことがすべて完結です。晴ればれとした気分です。これでやっとほっとできます。

追伸 一週間後の昨日1月28日、営業終わりの10時半ころ(イタリア時間2時半)に先に発送しておいた綿貫さんから電話が入りました。月曜日に発送した荷物が次の週の月曜日でした。30年前の笑い話。イタリア人の友人が隣町に手紙を出したら2週間かかって、手紙が届く前に本人と会っちゃった。そんな話は当時普通のイタリアがです。時代の進歩とイタリアの変貌はすごい。

で。綿貫さん、電話からも笑顔が伝わってくるような喋り口で『しゃかきばらしゃん(柳川の人なので)なんかいろいろ珍しいものありがとう。』『すいません。パパっとスーパーで見繕ったんですが、イタリアではたぶんないものだと思いますし。漬け物なんか農家さんの自家製ですし。晩酌にもいいと思って。』『ふん。ふん。ありがとね。』『で綿貫さん。アンパン見ました?』『アンパン!開けてすぐ食べた。』『あ。よかったです。』そんな会話がありました。


2019.01.19
ピレネー産仔羊(Abacchio)

お付き合いしている業者さんに、『榊原さんおすすめな食材が入荷してきました。ご意見もうかがいたいので。是非。』とのことだったので、『じゃあ。一度もらいますか。』となって届いたのがこのアバッキッオ(乳吞仔羊)です。実は半信半疑で、まあお付き合いもあるかと。今まで20年でほんとに気に入ったアバッキッオは、タイミングがあった時の北海道産のもので、それももう何年も前で、それも一度とか二度。何度いろんな業者さんから自分の本意ではないものを仕入れたか。

ただ誤解がないように書いておきますが、美味しくないと言うことではなく、自分の思う味。ストラクチャー。じゃあなかったというだけで、綺麗にロゼに焼き上げて仔羊のジュをかけてりすればおいしかったり。やれるかもしれないけれど自分らしくない方向の料理に向く味の食材だったことが多かったです。

でもローマのアバッキオはそんなんじゃあなく、綺麗で洗練された料理じゃあなく、もっと素朴でおおらかな肉々しい味で、オーストラリア産。ニュージーランド産。フランス産。アイスランド産。などとはまた違うので近年はそういった食材、料理があることでさえ考えないようになっていました。ただ唯一北海道産の仔羊はおんなじ方向性を持った仔羊だと思っています。

今回もまた来たか。ぐらいの気持ちで”お試しで”っていう言葉に応えるくらいの気持ちで購入しました。ところがです!

自分は、新しい食材が入った時特にお肉の場合は、パックを開けて特によくない部分、例えば端肉、首の付け根とか、あばらの先とかをペティーナイフでチョンと切り落とし、軽く塩をして熱した焼き網にのせてぱぱっと炙ります。それを味見してこの個体の肉の方向性を判断します。

それをしてみたらちょっと次元の違う味が口の中に飛び込んできてびっくり。これはもしかして・・・もしかする?です。

試作で、結構大らかにじゃが芋などの蒸し野菜と一緒に焼き付けて実食してみました。

何年振りかにローマで食べるアバッキオと同じ方向性の乳吞仔羊に出会いました。

ちょっと言い過ぎかもしれませんが、イタリアを離れる時に置いてきた料理がいくつもありましたが、この20数年という時の流れの中で、再現できる。作っている自分がイタリアの風が吹くように感じれる料理を構築できる食肉がこれほどまで日本に入ってくる時代が訪れるとは思ってもみないことでした。

いつも考えていることがあります。イタリアにあって日本にないもの。またはその逆もしかりで、50%:50%だと思うようにしています。長年の経験もありますが今ではその50%がかなり膨らんできているよう感じます。よく言う『調子のいい時のバッターがボールが止まって見える。はたまた、縫い目が見える。もっと言うと、ボールの芯が見える。』…志ん朝さんの落語のまくらですが。そんな気分が少しします。

ちょっと買いかぶりすぎでしょうか?

それはさておき美味しい食材です。今後本格的に仕入れて行きます。お楽しみに。


2019.01.17
個性的な料理たち

正月が明けると本当にパタパタっと料理が変わってきます。

真っ先に代わって、出てくるのがそら豆のパスタ“ローマ風”です。

これもうちでは定番で人気なパスタの一つ。半年ほど続きます。

ま。これは本当に肉料理の定番にお客様たちが押し上げて頂いています。

先日、夏ころ来店されたイタリア人の男性のお客様がいたのですが、その時偶然帰国の直前に来店され、『じゃあまた豊橋に仕事でこられることがあればぜひ。』とお伝えして半年もたたない11月末ふらっと同僚のイタリア人と二人で再来店され、お肉はこの短角牛の炭火焼をそれぞれが注文され、帰る際に『Buono carne・肉旨かったよ。』って肉の国の人に褒められたのはそりゃあ嬉しかったです。

Colatella ai carciofi

北海道産仔羊の内臓とカルチョーフィのソテー“ローマ風”


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