以前(11月22日)、静岡新聞「びぶれ」のグルメ特集の取材があり、「プロの道具は何がありますか？」聞かれたので、普通は包丁や鍋などがフっと頭に浮かぶんですが、自分がフっと思い出したのは、「スチール棒」でした。
このスチール棒は、フランス修行時代の思い出が強く、今でもこのスチール棒を使うたびに思い出します。
この新聞を読んだ方はわかると思いますが・・・とにかくフランス人は包丁の扱いが粗末でよく喧嘩したものです。日本では、「料理人の魂」とも言われていました。そんな大事な包丁を、フランス人の見習いが、自分の包丁を使って欠いてしまったのです。その時は頭にきたんですが、日本から砥石を持っていったので、すぐ砥石を取り出し、研ぎ始めたら、皆集まってきて不思議そうに見てました。
そのうち、欠けた包丁がみごとに輝きをとり戻したので、皆ビックリしてブラボーと言って手をたたかれました。(ある料理人は「カタナ」と言っていました)
包丁を欠いてしまったフランス人が、その包丁と砥石を譲ってくれと迫ってきたんです。その時、彼と交換したのが「スチール棒」だったのです。(その後、彼とはとても仲良くなり、よく遊びました)
フランスでは、包丁が切れなくなると、このスチール棒で切れるようにするんです。(砥石がわりです)

日本にもスチール棒はありますが、こんなに大きくて重いものはありません。35年たっても、ほぼ毎日このスチール棒を使って、フランスのエスプリを感じる毎日です。

掲載されたスチール棒の記事(クリックで拡大)

杉野シェフ(東京パティシエ「イデミ・スギノ」)が昨年11月に遊びに来たときに、杉野シェフがスイス(コペ、ローザンヌの近く)に修行に行ったとき、日本人として初めて行ったのがムッシュ今井(森町で。1日１組をやってる自分の師匠)で、すごく仕事のできる日本人と聞いていて、昨年来たときに「今井シェフにお会いしたい」と言われていたので、今回(2/19)会えることになったのです。
ムッシュ今井も、丁度19(火)はお休みで、浜松まで出てきていただき、弟子であるアマンダンライズの水野シェフの店で4人(水野シェフも食べた)で、スイス・フランスの話でかなり盛り上がりました。杉野シェフは話が大好きで、3時間ほどしゃべりっぱなしでした。とても話が上手で、あきなかったです。
ムッシュ今井は、オフシーズン(1月〜2月)は週休3日で、のんびりやられていて、余裕すら感じられました。
杉野シェフはバレンタインで忙しく、やっと落ち着いたとのこと。
いつも行列ができ、午後の3時〜4時頃には売り切れてしまうとのこと。(すごい人気です)
今回はバレンタインが忙しくて休みも取れなかったみたいで、今回2/18〜19と連休して、来てくれました。昨年11月に紹介した大橋さんも入社して3ヶ月が過ぎ、やっと慣れたみたいで、丁度連休だったので浜松に来て報告がてら、お母さんと食事にきました。
毎日毎日忙しいみたいで、朝7時頃には出勤して、帰りは10時頃まで働いているとのこと。「イデミスギノ」は入社してすぐ厨房には入れられなく、最初は販売と接客を2〜3年やり、のちに厨房に入るシステムをとっているとのこと。接客はとても大事で、いまのうちにお客様とのコミュニケーションを勉強しておくことは大切なことです。
自分も見習いの時(オーク時代)は鍋洗いと接客(営業)を2〜3年やりましたが、とても勉強になり、今に生かされています。
大事なのは「やらされる」ではなく、「やらせてもらえて良かった」と思いながらやることです。意識の違いで毎日の仕事が全然違います。(何をやっても楽しくできるようになります)
大橋さん、2〜3年過ぎたら、必ず厨房に入れるので、今やっている仕事をしっかり勉強することです。こうして浜松に来たときに顔を出せるのは頑張ってやっているから、来れるんです。「頑張れ、あやのちゃん」
そして美味しいクッキーをありがとう。あとで杉野シェフに聞いたんだけど、何を持っていくのと聞いたら焼き菓子を持っていくといっていたので、杉野シェフは、だぶってはいけないからと、ショコラを持ってきてくれました。スギちゃん、ショコラとても美味しかったです。

今度は自分がファンを沢山連れて行くので、その時は売り切れないように、取っておいてください。4月には行きます。又、その時、フランスの(4月上旬にいくとのこと)話を聞かせてください！

そして水野シェフ、休みなのに我々のためにやってくれ、そして美味しい料理を有難う。2人からもその日のうちにお礼の電話があり、とても美味しかったとのことでした。
今度4月イデミスギノに一緒に行きましょう。

Ｐ．Ｓ
原稿を書いて、アップ前日に杉野シェフより、お礼にとガトーが送られてきて、ビックリ(義理堅い男)とても美味しかったです。

今井ムッシュと杉野シェフ、 水野シェフと	アマンダンライズのスタッフたちと
お礼にあとで送られてきたガトー