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【浜松三ツ星会】ガイアフロー静岡蒸溜所見学ツアー

2019年3月26日。静岡市北部にあるガイアフロー静岡蒸溜所見学に行ってまいりました。

静岡市街地から車で北上すること40分程度。浜松市からはるばる2時間程度かけてようやく到着したのは、青々とした山々に囲まれた自然豊かな環境の中に佇むスタイリッシュな建物「ガイアフロー静岡蒸溜所」です。

 

空前のウイスキーブームと言われている今、世界中からもますます「ジャパニーズウイスキー」が注目されています。2016年から操業開始というこの新しい蒸溜所でどのような取り組みがなされているのだろうかと期待に胸を踊らせながら、三ツ星会一同、エントランスにあるブルーの暖簾をくぐり、スリッパに履き替え、二階にあるテイスティングルームにて受付を行います。

 

いよいよ見学ツアー開始です!

まずは女性スタッフのご挨拶から…と思いきや、なんと!こちらはガイアフローディスティリング株式会社 副社長の中村美香さん。

 

そして、今回ツアーガイドを担当していただく、一岡さんです。カウンター手前に移るテイスティンググラスが三つ。参加者の皆さん、待ちきれなくてツアー開始前に既にテイスティングしちゃってますね(笑)

 

最初は、発酵槽「ウォッシュバック」の説明です

ガイアフローで造られている「モルトウイスキー」に必要な原料は、大麦の麦芽と水、そして酵母です。添加物や着色料、香料などは一切使用されていません。ウイスキー造りをするにあたり重要な点一つは、原料に最適な水が豊富にあるかどうかということ。南アルプスの伏流水が豊富なこの土地は、まさにウイスキー造りに最適な場所であると言えるとのことです。おまけに水質は「硬水」。酵母の発酵に非常に有利な水質だということにもこだわりが感じられます。

 

あえて地元の杉を使用し、大阪の業者によって特注で造られた「発酵槽」は、この土地に住む乳酸菌を多く含み、それによって独特且つ非常に風味豊かなウイスキー造りが実現しているとのこと。釘や金具は一切使用せず造られているのも特徴です。

 

木のぬくもり溢れる施設内は、静岡の風土に根ざすウイスキー造りの象徴

周辺の山々で伐採された木材をふんだんに使用した施設内。床、梁、壁一面に木のぬくもりが感じられます。「静岡の風土に根ざした、自然と調和するウイスキー造り」というテーマが、こういうところにも表現されているわけですね。

 

続いて案内された「麦芽粉砕室」

スコットランド、ドイツ、カナダ、オーストラリア、北海道、栃木、茨城etc…用途に合わせて様々な場所から取り寄せた上質の「モルト」を、静岡名産のみかんを意識した色のサイロ(写真奥)に貯蔵し、写真手前の赤い機械で粉砕していきます。

「ガイアフロー」が小規模な蒸溜所ながら、国内外から熱い視線を集めている理由は、ほかにはない製造設備をそろえているというところにもあるのだとか。自慢の一つとして挙げられた、真っ赤なボディとメーカー名のプレートが特徴的なこの「英国製モルトミル」は、メルシャン軽井沢ウイスキー蒸留所から移設された、歴史あるモルトミル。年代物でもまだまだ現役で活躍しています。

 

お次は「糖化室」です

こちらがマッシュタンと呼ばれる「糖化層」。粉砕した麦芽を温水と混ぜて糖分を抽出する機械です。6,000リットルもの容量の熱々のお粥を作ると、1時間ほどで麦芽の酵素がデンプンを糖分に変える働きをし、「麦汁」ができていきます。

 

そして麦汁は発酵槽の中へ

「麦汁」は最初に見学した発酵槽の中に入れられ、ここで、酵母を添加し、アルコール発酵を促します。およそ48時間で7%以上のアルコールが生成され、その後は乳酸菌による発酵が24時間以上続きます。こうしてウォッシュと呼ばれる「もろみ」が出来上がるわけです。

 

ウイスキー造りのハイライト!「蒸留」です。

出来上がったもろみはポットスチルと呼ばれる「蒸留機」に移され、2度の蒸留過程を経て「原酒」が造られます。「蒸留」の仕組みは、アルコールが約80度で沸騰する性質を利用し(沸点の違いを利用)、蒸気を発生させ冷却、液体化させると、アルコールや香気成分などの揮発成分だけをとり出すことができるというもの。

 

スコッチの本場・スコットランドのフォーサイス社の手による、世界で唯一となる「薪の直火」を使った蒸留機が備わっているのもこちらの蒸溜所の特色のひとつ。「メルシャン軽井沢蒸留所」から買い取った“蒸気加熱式”の蒸留機ともまたひと味違った味わいや香りを実現できるとのこと。もちろん燃料となる薪も地元の木材が使用されています。

 

蒸留を開始してから10分程度で、濁り成分が無くなり透明度の高いクリアな原酒が出来上がって行くのだそうです。

 

最後に熟成の工程「貯蔵庫」へ移動します

出来上がった原酒のアルコール度数は70%程度。そのまま樽詰するのではなく、フィルターを通し、ピュアな水を加えてアルコール度数を64%程度に調整する必要があります。高濃度のアルコールを樽詰しても、アルコールが木に勝ってしまい、樽の中の原酒が息をすることが出来ず、熟成を妨げてしまうため最適なアルコールの調整が求められるのだそうです。

この「エンジェルシェア・天使の分け前」と言われる現象無くして、最高のウイスキーは実現しないのです!

 

ガイアフロー静岡蒸溜所で造られたウイスキーを樽単位で購入できるサービスが「プライベートカスク」。ウイスキーの味わいは、樽の材質やサイズ、貯蔵期間など様々な影響を受け、樽ごとに異なる味わいに変化するため、自分自身で味わいを確かめ、熟成の進み具合を見極め、ボトリングのタイミングを自由に決めることができるこのサービスを利用すれば、世界で唯一無二の特別なウイスキーを造り出すことが出来ます。

浜松三ツ星会でも、いつの日かプライベートカスクをプロデュースできる日が来るといいですねー。

 

見学ツアーの締めくくりに、いよいよテイスティングです!

残念ながらこちらの蒸留所で造られているウイスキーはまだ製品化されていないため、試飲できたのは樽詰される前のサンプル品です。こちらの原酒はアルコール度数60.9%もあるため口に含んだ時のインパクトが凄い!「若々しさ」や「荒々しさ」といった表現がふさわしいかどうかわかりませんが、これから熟成されて年数を重ねるうちにきっと素晴らしいウイスキーに仕上がるんだろうと期待できる味わいだったのではないでしょうか?

 

「ハイランドクイーン 1561 30年 ブレンデッド スコッチウイスキー 40%」

どうせなら一番熟成年数が長いものを体験しようと選んだのがこちらのウイスキー。口に含んだ時の滑らかな舌触りや、上品な味わいは、さすが30年熟成されているだけはあるな!とウイスキー素人でも感じることが出来ました。

 

 

浜松三ツ星会「ガイアフロー静岡蒸留所見学ツアー」無事終了しました!

総勢9名参加した見学ツアー。今回も無事に執り行うことができました。ぜひこれからもこの地でしか味わえない、静岡らしい「クラフトウイスキー」を発信し続けていただきたいと強く感じました。オリジナルウイスキーの製品化が待ち遠しいですね!「ガイアフロー静岡蒸留所」の皆様、他関係者の皆様のご協力に心から感謝いたします。

 

今回の参加者は以下の皆様

内田祥三 新中国料理ムーラン(浜松三ツ星会会長)
林竜二 ホテルオークラ(浜松三ツ星会副会長)
田村泰宏 新東クラブ 料理長(浜松三ツ星会会員)
高田慎也 プロプル
西原朗 スペイン厨房tio akira
嶋慎一 一般参加
菓奈毎美 菓奈毎美&CP-Marma
町田周平 ソルトドットコム (浜松三ツ星会事務局) 他1名

 

協力:

ガイアフロー静岡蒸溜所
静岡県静岡市葵区落合555番地
https://shizuoka-distillery.jp/

 

浜松三ツ星会
https://www.wr-salt.com/mitsuboshi/