懐石・八方さんの「仕込み見学」
早朝、上新屋にある「懐石・八方」さんにて撮影の仕事。その合間に大将の寺田さんが仕込みの様子を見せてくださるとの事で、興味津々見学させてもらいました。
料理の基本とも言える「だし」ですが、本物にこだわればこだわるほど奥の深い世界。調理場に入れてもらうと、周りは芳醇な鰹節の香りに包まれています。一番だしを取り終えて、これは二番だしを取っているところだそう。
大鍋に箸が立つほどの量の鰹節が投入され、じっくりと煮出されています。こんな光景を見るのは初めてだったのでびっくり。これは家庭では真似できないですね。さらにまだまだ「追い鰹」の鰹節が引き続き投入されていきます。
出来上がった「一番だし」は急冷しないとすぐに香りが抜けてしまうんだそうで、夏場は特に気を使っておられるとの事。出来立てほやほやの「一番だし」を特別に味見させていただきました。
濁りの一切ない、すっきりと澄んだ琥珀色のエキスをグイッとひと口。上品な香りと旨味が口の中に広がります。生臭さなど微塵も感じさせない、自然な味わい。少しの塩、少しの醤油があればそれだけで「お吸い物」が完成してしまう。素晴らしいクオリティーです。
そうこうしている内に、「二番だし」も出来上がり。丁寧に昆布を取り除き、一番キメの細かいとされる「ネル地」で濾します。キメが細かいだけあって濾すのにも時間がかかりますね。こちらは味付けを前提とした煮物などに使用されるため、最後に軽く絞るのだそうです。これも味見を一口。いやいやこれも美味いです。これが「一番だし」と言われても素人には全く分からないレベル。
こちらで使用されている鰹節は、京都から取り寄せられた「本枯節」。昆布は「利尻産」。どれも一級品の素材を使用し、しかも一切手抜きがないから、この「味」が実現するのでしょうね。出てくる華やかなお料理の舞台裏は、本当に手間ヒマかけられているのだとつくづく感じることができました。
懐石・八方 HP
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