季節によって、わたしたちにいろいろなおいしさを味わわせてくれる料理。 そんな料理を味わう時に一緒に飲むワインにも、季節があります。
「食」と「ワイン」の関係を大切にしているソムリエ、南竹栄子さんが、そんな季節を感じさせるワインを紹介してくれます。
今回はちょっと一息。


 マダムルロワの本にぶどうの花の事が、魅惑的に書かれています。
 一つひとつのワインの香りは、花咲くぶどう畑の香りです。最も純粋な香りなので す。それをワインの中に探し当てなければなりません。それがワインの本質です。
 タンニンや木の香りなどの第一印象に惑わされてはなりません。 よく、フランボワーズやさくらんぼの香りなどと言いますが、それは美しい表現かも しれないけれど、二義的なものでしかありません。
 それは、最初に感じる香りであって、ワインの本質とはまた違うものなのです。
 私はリッシュブールが花盛りの時の香りを知っています。それは、サン ヴィヴン ともちがうのです。これこそ私がいつも探し求めているものなのです。
 花の香りの段階で、そのワインが軽いものかしっかりしたものかわかります。そう いうワインの肉付けを、口にふくんで確認するのです。
 同じワインでも、それぞれの畑によって花の香りが違います。
 それは土が違うか らです。
 花は、土の香りを反映するのですから。 この本を読んで私もぶどうの花を嗅ぎたいと思い、庭にぶどうを植えました。 5月22日に咲いた花です。 そういえば、午前6時に咲くというのが私が受けたソムリエ試験にも出ていました。 咲いて1日か2日しか見られない花なのです。 香りを嗅ぐと、多分このぶどうでは美味しいワインは出来ないだろうなあと思えるよ うな、化粧品のような匂いでした。(品種は何だったのか、覚えていません。)
ブルゴーニュでは6月に咲くそうです。その花の匂いを嗅いでみたいと無性に思いま した。



Profile
みなみたけえいこ
91年全国でも女性は1割というソムリエ資格を取得、浜松初の女性ソムリエとして話題を呼ぶ。
浜松市佐鳴台でシェフのご主人とフランス料理レストラン・エピファニーで、マダム役とソムリエ役の2役をこなしている。舞阪出身。

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