「世界ぐるっとほろ酔い紀行」西川 治 著
文庫本で書き下ろし、と言うので早速買い求めた。僕のイタリアへの憧れは、この人とトマトカンパニーがあったから、と言っても言い過ぎではありません。
特に、西川氏はおこがましいですが、写真に色気があって(エロい!!)文章は限りなく優しい(エロい!!)。グイグイ引き込まれ、頭の中に映像が浮かび上がってくる。ネットなんて要らないです、はっきり言って。それはもう、リアル妄想トラベラーになっちゃいます(笑)。
この本の内容と言えば、氏の40年間に渡り、巡った諸国でのほろ酔い話し。その1つ1つを氏が回想して書いておられるエッセイ、となるのか?
長きに渡りほろ酔いし続けている(?)その歴史がとても楽しく、リアルに書かれています。
またまた妄想トラベラーの血(?)が沸々と沸き上がり、今晩も泥酔しそうです、、、、、。
お気に入りのアルコールを片手に読む、そんな感じが一番いい気がします。さあ、飲みたく、いや、読みたくなったでしょう??
「一日一組だけのイタリア料理店
フォリオリーナ デッラ ポルタ フォルトゥーナ」小林幸司 著
年明けすぐ、近所の本屋さんにぶらっとでかけ、本当にフッと目に留まった本。それがこの本でした。料理人の本など溢れていますから、別に珍しくもないのですが、「この方は絶対本など出さないだろう。」そんな方の書いた本、自然と興味が湧いて手に取っておりました。僕が知る限りそんなにメディアに登場する方ではないと思っていたし、数少ないTV出演(NHKなど)や専門書から“うけねらい”の方ではなさそう、ちょっと独特な考えを持っていそうな方なのでは、、、?というイメージを持っていました。ですから余計に興味が湧いたのだと思います。
そして予想どおり“売れるように書いた本”ではなく、自分の思っている事をストレートに書いてありました。誤解されそうな部分もあると思いますが、それを承知の上ですべてをさらけ出している彼の真面目さが僕には伝わってきます。
すべてが賛同できる訳ではないですが、(そんなことよりも)一気に読み進むうちに、何度も何度も、はっとさせられ、何度も何度も、忘れていたものを思い出させてくれた気がしました。
料理をしている人だけでなく、どんな仕事の方が読んでもしっくりとくる本だと僕は思います。なんの仕事かなんて関係なく、最終的にはその人そのものが問題なんだ、テクニックなんかより、、、、と、僕はも言われている気がしました。
一気に読み終え、気持ちがスッとしました。なんか“元”に戻ったような、“よしっ!!”みたいな、、、、。ほんと、読み終えて気持ちが良かった。
“時間の経過とともに、空気は流れ、風は吹き、人も通り、ほこりも落ちる。”このフレーズがずっと心に残っています。痛くなりました。久々に硬派な“料理(仕事)人”の本を読みました。
「料理人の休日」辻
静雄 著
かの、トマトカンパニーのバッボが『1冊の本にひとつ気になるレシピが見つかればいい方だよ』と言ったのを覚えているのですが、確かにそのとおりだと今でも思います。
今回の辻さんの本はバッボのひと言よりもさらに前(15年程前??)に出会った1冊。 その当時うまく理解出来ずに“凄いなあ、この人の考えてる事”と、読み進むうち、その後何度も何度も読み返し、赤線を引きながらも読む事になったエッセイに出会いました。
当時、自分の将来が全く見えない中(理想と虚構だけはめいっぱいあったのだが)で読んだ文庫本の中の一つのエッセイは、“料理は芸術ではなくお金を頂く為の商品である”と言っていた。
久しぶりに読み返してみても、やはりそのエッセイだけは、大きく『うん、うん』と頷いてしまう。食べ物だもの、芸術じゃいかんよな。
どんな仕事であれ、そこんとこ間違えてはいかんな、と思う。
このエッセイや、何人もの先輩に言われた言葉を思い出しながら、今日も仕込みをしております。
「マリオのイタリア料理」マリオ・ベニーニ、西川治著
またまた西川さん関係の本です。前回の本は、イタリアに行く前に読んで妄想を膨ら
また本でしたが、今回はイタリアから帰ってきたばかりに読んだ本。
今から20年以上前に発行された本だから、古本屋を巡って探してもなかなか見つから なくて、ようやくパスタの本だけ見つけることができました。そんな中、谷島屋でた
またま料理の本特集が開かれていて、そこにこの本の全巻があるではないですか! 「うわっ!」と思ってすぐ購入。欲しかったんです。
マリオ・ベニーニは盲目の料理人と呼ばれている人で、超有名シェフでしたがほとん ど失明に近い状態になってしまい、それでも料理を続けられた人です。今の日本のイ
タリア料理にはない、普通のイタリア料理のレシピと写真が満載です。うん、旨そう!
お店を始めた頃は、少しでもイタリアを感じてもらえたら、とこの本ばかり見ていました。
「イタリアを食べる本
パスタ」西川治・木村浩子著
前回紹介した本と同じ西川さんの本。イタリアに行く前に購入した本です。
写真家の方の本だけあって、この本も写真がいっぱい。 本当のイタリア料理、盛り付け、色合い。これはどんなサラダなんだろうと頭の中で
イメージが湧いてきます。どーんと写っているイワシも旨そう。
この本に載せられているのは、料理の写真だけではありません。店の陰影の美しさ、
料理が乗っていないけど雰囲気があるテーブル、厨房の様子もまるで動いているよう でお店の忙しさをイキイキと連想させられます。おじいさんのシェフたち。イタリア
は結構年配の料理人達ががんばっているんです。
お店から外を出れば、美しい女性の写真。ブロンドの女性は黒い服、黒髪の女性は茶 色の服。さすがオシャレ。
まだまだ僕がイタリアに行く前は、イタリアを感じられる情報って少なかったんです。 だから余計にこの本を読んで妄想を膨らませていました。頭の中はイタリアへ!
私が食べたイタリア料理 西川
治
まだイタリアを知らない時、この本でイタリアを勉強しました。 著者の西川さんの本業は写 真家。しかし素晴らしいのは写真だけでなく文章も面白い。料理が主役ですが、それを通
してイタリアの生活を知ることができました。まだ今のようにそんなにはイタリアの情報が出回ってなかったので、よけいにこの本を読んでイタリアに憧れ、もう行ったような気分になったものです。
とくに惹かれたのが“リストランテの夢幻”というところに出てくる、暗闇の中にほのかに明かりがともるリストランテの写 真。実際イタリアに行った時、その光と影のコントラストの美しさに静かな感動を覚えました。イタリアもそうですがヨーロッパって、日本のようにケバケバしいネオンがないんですよね。だから暗い街並の中に、ぽっと明かりが光り、それがなんともいえず美しく、この本で読んだ通
りなんだなと思いました。 |