清八でございます。ごぶさたでございます。
2月5日~6日で、久しぶりに京都に行ってきました。今回は四年前にこの「ちりとてちん」でご紹介できた「吉田屋料理店」で二回目の食事をする目的でした。落語がお好きな方はご承知だと存じますが、昔、遊郭で初めて花魁と過ごすのを「初会」、二度目に行くと「裏を返す」、三度目となると「馴染みになる」と言いまして、客商売のお店では今でも使われていると思います。貴方の馴染みのお店は、どのくらいありますか。
先ず京都駅に到着後、今出川の同志社大学に向かいました。2004年3月に竣工した学生支援センター「寒梅館」一階のカフェレストラン「Hamac de Paradis」(写真①)で、学食ランチをいただくためです。どこの大学でも、もう低所得者学生のための生協食堂は姿を消し、フレンチやイタリアンレストランが当たり前のようになってきました。本日のパスタ(ペペロンチーノ)は600円(写真②)、ハンバーグランチ(写真③)も600円でした。年中無休で、ディナーは平均2500円とリーズナブル、もちろんワインもビールもありますから、京都市内で困ったときはいい店だと思います。昼食後は、徒歩で京都御苑へ、まだ梅もつぼみの頃でしたから観光客も殆どいなくて今出川口から丸太町口に抜けようとしたところ、参観許可の必要ない施設があることがわかりました。「閑院宮邸跡」です。伏見宮家・桂宮家・有栖川宮家と並ぶ四親王家の一つで現在は環境省の管理施設となっているため予約無しで入場でき、職員さんに丁寧にご説明していただけます。写真④は収納室と中庭です。ホテルにチェック・イン後、近くの京都伝統工芸館へ、京都伝統工芸大学校生たちによる絵付けや彫金、手彫りの実演とお話を伺いました。その後、歩いて丸太町御幸町下ル五軒目東側露地奥の吉田屋料理店へ向かいました。「ちりとてちん・その99」でご紹介させていただいた吉田裕子さんの二冊目の本「吉田屋とヒント」を持参、サインをお願いしました。今回、いただくことができたメニュー一欄です。飲み物は、ベルギービール(ヒューガルテン)とスペインワインにしました。
パルマ産生ハム(写真⑤)、チーズのせサラダ(写真⑥)、山菜のフリット(写真⑦)、れんこん餅と海老の春巻焼き(写真⑧)、キノコのチヂミ(写真⑨)、鹿肉の竜田揚げ(写真⑩)、ラクサヌードル(写真⑪)、鹿肉はたいへん柔らかくワインの肴としては最適だと感じました。また、締めに頼んだラクサは、昨年、シンガポール・シーフード・リパブリック銀座で食べることができたラクサと違って辛くはなく最適な締めとなりました。吉田さんは年末年始の休暇中に
マレーシアとシンガポールに滞在、たくさんのマレー料理を楽しんでこられたそうで、今後のメニューに追加されることを期待しております。前回のその99と同じことを書きますね。
「吉田裕子さんは、日々、特別な食材に頼ることなく万人がおいしいと感じる核の部分を知っている料理人のお一人であると確信できます。同時代にめぐり合うことができて幸せだといえます。」
翌6日の行動です。ホテル・チェックアウト前に、近くの「IYEMON SALON」へ行ってみました。IYEMONは、あの「伊右衛門」さんです。「お茶を通じて新しいライフスタイルを提案する」というコンセプトで、サントリーと福寿園・千總・嵐山吉兆がコラボして三年前に茶葉とお茶器の展示・販売と共に、朝食・ランチ・ディナーのお店として、三井ガーデンホテル三条のお隣にオープンさせていたのです。今回は、京都友禅の老舗「千總」ギャラリーで室町時代からの小袖を観ることができました。その後、開館時間を待って
再度、昨日の京都伝統工芸館へ向かい、京都伝統工芸大学校生OBさんたちの作品をじっくりと拝見させていただきました。そして、本日、楽しみにしていたのは壬生にある日本で唯一の根付の常設展示館、「清宗根付博物館」へ移動です。壬生は、昨年の竜馬伝でも登場しているため、再び、歴史ファンに注目されている新撰組誕生の地です。その壬生寺の斜向かい
の旧・神先家住宅(写真⑫)の中に個人の収集物の根付が約600点展示されている非常に貴重な施設となっています。ご興味のある方は、是非、訪問して下さい。今や「NETSUKE」として世界中の収集家が売買している日本の究極の文化を堪能できますよ。さて、本日のランチは河原町に戻ってうろうろしていると、古い日本家屋のお店が目に飛び込んできました。これまで脇役だった葱を主役にした葱料理専門店「葱や平吉京都高瀬川」(写真⑬)です。ランチメニューとしては、とろろめし、うどん、そして定食ですが、ご飯と白米と玄米とかやくご飯から選べます。どれを頼んでも五号枡にたっぷりの九条葱が運ばれてくるようです。もとも東京目黒に本社のあるチェーン店だそうですが、高瀬川に面しているこのお店は雰囲気もよく観光客の懐具合にも適合しているようでした。京都から帰る前に立ち寄ったのは、ジェイアール京都伊勢丹で開催されていた「チョコレートの祭典~サロン・デュ・ショコラ」です。バレンタンの前という企画でしたが、テレビ局の中継は入っているわ、人気パティシェによるデモンストレーションはあるわ、とんでもない集客数でした。さすがにベルギーからは5店が出展、たいへんな待ち時間になっていました。私が購入したのは、滋賀のドゥブルベ・ボレロ(渡邊雄二パティシェ)さんのボンボンショコラ(写真⑭)です。湯浅醤油とエクアドル産カカオとか、山田錦山廃仕込七年古酒とクリオロ産カカオ、黒七味とホワイトチョコなど、これまで予想できなかった味わいを堪能できました。
以上、非常にハードスケジュールでしたが、久しぶり吉田屋さんと京都を堪能できました。
以前にも書かせていただきましたが、個人的な思いとしては「京都は日本で一番新しもの好きな街」だと確信しております。関西の文化、考え方等にご異論をお持ちの方もおられると思いますが、客商売のビジネスチャンスとネタ、客あしらいの基本がいくらでも存在している街です。好き嫌いは別にしても、遠州地区のご商売人ももっと情報を仕入れられたら、いかがなものかとご提言させていただきます。
ところで、2月26日、シネマイーラ(浜松市中区田町)で「約束の葡萄畑~あるワイン醸造家の物語」を観ることができました。この映画は、ニュージーランド映画ですが、19世紀のブルゴーニュ地方でのシャトーでのワイン作りを描いた作品です。字幕の翻訳をされた方は、たいへんであったと思いましたが、当時の土壌に関する表現が出てきます。拙宅での「わいわいワイン会」のワインを準備していただいている高山市の坂本酒店のジュニア、坂本雄一氏(地質学修士)から葡萄畑の土壌についてのレクチャーを受けて、個人的にも土壌に興味を持っていましたので、違った視点でもこの映画を理解できたと思います。何が役に立つかわかりませんよね。
2010.12.20 |