清八でございます。「暑さ寒さも、彼岸まで…」言われてきましたが、今年は、どうなんでしょうか?言うてたら、もう秋から冬に移行するようですね。さて、毎月、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして学習しております。
それでは、9月分を報告させていただきます。一年ぶりの東京都内情報もあります。
■「東海林さだお著 貧乏大好き ビンボー恐るるに足らず」大和書房 (2022.12.15)中古本
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「週刊朝日」(朝日新聞出版)に連載されていた「あれも食いたいこれも食いたい」、そして氏のエッセイ集、対談集を集約されたアンソロジー本でした。私は、氏の食レポや食エッセイ集が大好きで、蔵書の中に80冊ほど保管してあります。
95~121頁の「冒険、かけうどん」では、昼食時間帯に、混雑している食券機の無い普通のそば屋に入店して、ざわめく店内で、かつ丼や天丼、天ぷらうどんなどではなく「かけうどん」を注文するという冒険談です。「……この店は、小さなお盆に食物を載せて提供するというシステムをとっており、カレーライスでさえお盆に載っている。お盆はいずれも古びていて塗りが剥げているのだが、ぼくのかけうどんのお盆は、他の人のお盆より剥げぐあいがひどいように思えた。……小皿に、薬味用の刻みネギがはいっている。ネギを盛った、という感じではなく、ネギをぶちまけたという感じなのである。……ぼくとて理由なくひがんでいるわけではない。ちゃんと理由があってひがんでいるのである。まずかけうどんのお盆の置き方が投げやりだった。お盆の剥げぐあいが、他の人よりひどかった。刻みネギの盛り方が乱暴だった。この三つの厳然とした事実の前に、おののきひがんでいるのである。」
駅の立ち食いの「かけそば」「かけうどん」、私の記憶では、豊橋より浜松の方がセルフのネギ容器が早く無くなっていたと思います。ここ数年の食材費アップの影響は理解出来るのですが、久しぶりに駅の立ち食いに入ってみると「こんな値段になってしまったのか!」と、おののいている自分なのであります。
172~178頁の「鯵フライ、B級に生きる」では、「……口の中で、ソースがあまりかかってない部分がメリメリ、うんとかかった部分は少し湿ってムリムリ、中身の鯵の部分が少しきしんでシャクシャク。二口、三口噛みしめると、猛然と、(これはもう、どうあってもゴハン)というせっぱつまった気持ちになる。このとき、人間がゴハンを思う気持ちほど純粋なものはない、とさえ言われている。ソース、鯵のフライ、ゴハン、この三者の絆ほど堅い絆はない、とさえ言われている。」
私は、15年位前に「歯周病」で歯茎が緩くなっていた頃、会社の残業や休日出勤の時に、定番のかつ丼やかつライスが食べにくくなり、魚フライライスを食していました。その頃から食堂でも居酒屋でも鯵フライを頼むようになりました。定期的に通っていた浜松市西区庄内町の「大むら屋」さん、「フライ定食」コスパ良く、美味しかったです。再開されず?残念です。(画像①)
(画像①貧乏大好き)
■「和田はつ子著 料理人季蔵捕物控 小雪ずし」ハルキ文庫
(2022.12.18)中古本
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久しぶりに「料理人季蔵捕物控」シリーズの新刊を購入出来ました。247~313頁の第五話「金剛鮭」では、「いずし」のレシピが書かれていました。「鮭の切り身は食べやすい大きさのそぎ切りにして、たっぷりの冷水にさらし、身が白くなり水が濁るまでおく。数回水を取り替えて脂や汚れを流す。布巾で水気をよく拭き取る。人肌ぐらいに冷ました米飯にほぐした米麹を混ぜておく。大根、人参、生姜は千切りにして塩をまぶしてしばらく置き、水が上がってきたら絞る。酢、酢の一割の塩、酢の三割の砂糖で合わせ酢を作る。これに鮭、米麹入りご飯、絞った大根、人参、生姜を加えて大鉢で混ぜ合わせる。漬物樽に入れて重石をし冷暗所に置く。水が上がってきてもそのままにしておく。十四日から二十日でも食べられるが一月以上置いた方が味が熟れて美味しい。食する時には水気を絞って器に盛り付ける。熱燗の酒によく合う。鮭の他にご飯も青物も入っているので身体に良い極上の肴といえる。」(画像②)
(画像②小雪ずし)
■「サライ 盛夏特大号」小学館
(2023.6.10)新古本
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コロナ禍の期間だったと記憶していますが、浜松市内の新刊書店で月刊誌のバックナンバーとか、岩波書店の書籍が定価の20~50%OFFで販売されていました。その時、かなり買い込みました。状態が新刊本だったからです。先月、この雑誌が何と80%OFFで置かれていたので、即、購入しました。税込み229円でした。大特集「円谷英二が拓いたニッポンの特撮」、特別付録が「村上裕二 ウルトラマンシリーズ日本画ポストカードブック」(8枚組)だったからです。
購入してから見つけたのが、78~82頁「サライインタビュー道場六三郎」でした。コロナ禍期間中に「鉄人の台所」というYouTube配信を始められました。この配信内容は、「家庭料理レシピ」なので身近な食体験が楽しみになっています。このインタビュー中、「昔と今でつくる料理に変化はありますか。」という質問に、「食べやすさを重視するようになりました。自分自身、昔のように口が大きく開きませんし、量も食べられません。うちにはお年を召された方も多くいらっしゃるので、食材を小さくカットしたり、嚙みやすいよう柔らかく炊いたり、そういう工夫を凝らしています。料理は思いやりが大事。お客様には必ず喜んで帰っていただきたい。食べ手に寄り添うことを常にしていますから、うちの料理は年寄り好みなの(笑)。」私自身、戸籍年齢69歳なので、本当にこのような料理店に助けられています。(画像③)
(画像③サライ 盛夏特大号)
■「創刊75周年記念別冊 暮しの手帖」暮しの手帖社
(2023.9.11)新刊本
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私は、「ちりとてちん No.25」に書きましたが、この「暮しの手帖」が愛読書の一つなんです。高校二年生頃に図書館で初めて目にし、1978年2月に52号を購入以来、定期購読を続けております。その後、古書店で50号と51号を購入出来、以降のバックナンバーを保管しております。20代半ば頃に突然、洗濯・炊事する生活になったり、オートキャンプにはまったりと料理する機会が増えたのです。その時にテキスト代わりになったのが料理・食べ物の頁でした。大阪ロイヤルホテルの「家庭料理」レシピと出来上がり写真、吉兆・ご主人のエッセイが毎号楽しみとなり、疑似体験ですがたくさん勉強させていただきました。
62~85頁が今回の特集の一つ「稲田俊輔さんが語る、『暮しの手帖』傑作レシピ」でした。1973~76年に、大阪ロイヤルホテル(現リーガロイヤルホテル)のコック陣による洋食、そして大阪・吉兆で修業された小島信平という和食の達人による和食家庭料理レシピが再掲されておりました。「ひき肉のあられだんご」「うにごはん」「キャベツと豚肉とはるさめのしょう油いため」「山芋の冷やし汁」「しいたけ丼」「とりのハンガリアふういため煮」「コンビーフスパゲチ」「ジャワふうカレーごはん」「とりの味揚げ」「アイルランドふうシチュウ」なんですが、当時のバックナンバーは持っていない為、新しい感覚で見ることが出来ました。(画像④)
(画像④暮しの手帖)
■「暮しの手帖 26 秋号」暮しの手帖社
(2023.9.25)新刊
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こちらは通常の定期発行分ですが「創刊75周年記念特大号」となっていて、盛沢山でした。第4特集が162~176頁の「コロナ下の暮らしの記録」でした。「ちりとてちん No.211」で紹介させていただいた「シェフたちのコロナ禍」という中古本。2020年4月一回目の「緊急事態宣言」が発令された時、都内の飲食店のオーナーやシェフ・板前さんたちは、何を考え、何を選択し行動して顧客、スタッフ、料理、仕入先を守ろうとしたのかをまとめられた後世に残すべき渾身の記録本でした。どうやら、この国の政府機関は記録を残す努力もされないようなので、こうした記録書を探して購入してきました。この号の記録は、一般の読者から投稿された生の記録でした。「ドラッグストア」「喫茶店」「理髪店」「休校中の家庭」「ねぎの生産者」「オンライン授業の教員」「里帰り出産の病院」「リモート会議をする自宅」「介護施設」「入国出来なかった外国人との結婚」「がんとの闘病生活」「集落での近所付き合い」「家庭保育」「出入国制限下の里帰り」「家族四人のうち三人が感染」など、それぞれが一篇のドラマになるような内容でした。この号のこの頁は永久保存です。学校、公立図書館は、今後絶対にこの号を処分しないで下さい。
編集長のあとがきから、「……ご投稿を拝読し、私がためらいながら言葉を投げかけた先には、やはり、一人ひとりに違う『暮らし』があったのだと、胸に迫りました。家庭や職場における苦労や工夫。暮らしと向き合うことで見えてきた、この社会の課題。……」(画像⑤)
(画像⑤暮しの手帖)
9月10~11日、一年ぶりに東京都内へ行ってきました。今回の目的は、若手の噺家達の落語を生で聴くことでした。生まれて初めて、上中里の駅で降りました。京浜東北線の上中里です。東京駅からは東十条行で6駅、約15分でした。乗り換え前に東京駅構内でランチの場所を探したのですが、以前から高いのか、この食材アップ後に高くなったのか、1500~2500円のランチしか見つからず、上中里で蕎麦屋さんでも探すことにしました。結果、この判断が大正解でした。
この日は、上中里駅から徒歩6分と案内されていた、「梶原いろは亭」という定員30名の小さな寄席を予約してありました。毎週日曜日は4人出演で木戸銭2500円なのですが、ネット予約で2000円になりました。いい時代になったものです。まったく初めての土地でうろうろしていたら、自転車に乗った地元の親切なおばちゃんが行き方を教えてくれました。先にその寄席を確認後、近くに「浅野屋」さん(画像⑥、⑦)というお蕎麦屋さんがあり、早速、入店しました。
おろし蕎麦をいただいたのですが辛子大根に本鰹節を使った辛め汁!細めの蕎麦!この日の日中温度は33度だっただけにグラスビールと共に美味しかったです。ホテルにチェックインしてから検索してみたら、何と「町蕎麦」の名店で1958年創業、石臼で蕎麦粉を引いていました。都内の蕎麦好きはかなりの頻度で通われているとわかりました。今度、訪問する機会があったら、白えびの天ぷらで日本酒を飲んで、〆に「二八のもり蕎麦」をいただいてみたいと思います。
(画像⑥⑦「浅野屋」のおろしそば)
ランチ後は、13時開演の「梶原いろは亭」へ、今回の演者と演目は、瀧川鯉三郎「宮戸川」、田辺いちか「名医と名優」、入船亭遊京「七度狐」、三遊亭歌奴「寝床」の四席でした。鯉三郎さんは、私が湖西市新居町内で41年間続けている本果寺寄席の第95回目として、今年の3月26日に来演していただきました。(画像⑧)
(画像⑧梶原いろは亭)
15時の終演後、上中里駅から赤坂見附駅まで移動、この日の宿泊先であるモントレ赤坂に向かいました。チェックインして、すぐに渋谷に移動しました。17時開演の「渋谷らくご」を聴くためです。会場は、渋谷区円山町の映画館の二階「ユーロスペース」でした。(画像⑨、⑩)2014年、渋谷を再度若者文化の発信地とするため、映画館を改修し、サンキュウタツオをサーキュレーターとして起用、「初心者が楽しめる落語会」としてスタートしました。コロナ禍からは生配信による視聴も始めています。この日の演者と演目は、「知性とセンスの光る会」と題して、立川寸志「天災」、林家つる子「片棒」、柳家小里ん「たらちね」、柳家さん花「三枚起請」の四席でした。寸志さんは、本果寺寄席に4回来演していただいております。小里ん師匠は、真打昇進前後に、私が20代の頃ですが浜松市内での落語会で7年程お手伝い、打ち上げまでご一緒しておりました。私共の結婚披露宴では獅子舞で祝っていただけました。この区円山町ですが、あのNHK朝ドラ「らんまん」の中で、寿恵子さんが待合「山桃」を開店、経営していた場所のようです。
(画像⑨⑩渋谷らくご)
終演後は、19時半に予約してあった、スペイン料理「びいどろ 渋谷店」に向かいました。ところが会場を出たら、人ひとヒト、海外の人が八割位の大混雑状態でした。それでも予約時間に間に合って入店出来ました。赤ワインをボトルで頼んで、「イワシの酢漬け」(画像⑪)「アリオリポテト」(画像⑫)「チーズ盛合せ」(画像⑬)「白子のフリトス」(画像⑭)国際パエリアコンクールでの優勝歴のある「魚介のパエリア」(画像⑮)を堪能してきました。
(画像⑪イワシの酢漬け)
(画像⑫アリオリポテト)
(画像⑬チーズ盛合せ)
(画像⑭白子のフリトス)
(画像⑮魚介のパエリア)
翌11日は、遅めのチェックアウト後、ホテルお向かいの赤坂豊川稲荷さんへ参拝、赤坂見附駅へ、地下鉄で淡路町へ移動しました。神田須田町の「神田連雀亭」(画像⑯)のワンコイン寄席、アフターコロナでは初めての入館となりました。2014年10月に二つ目の落語家や講談師専用の38席の寄席としてオープンしました。コロナ禍、緊急事態解除後に、高座の全面に飛沫防止のアクリル板を設置、この日もそのままで客席側はマスク着用でした。ワンコイン寄席とは、500円で11時30分から12時30分までの一時間に三人出演する昼席のことです。当日の演者と演目は、桂竹紋「動物園」、立川志の太郎「強情灸」、瀧川鯉津「いもりの黒焼き」、珍しい噺でした。この連雀亭がオープンしてから、二つ目の若手を聴きにかなりの頻度で通い、本果寺寄席への来演を依頼するというパターンが続いていて、久しぶりの若手を聴けました。
(画像⑯神田連雀亭)
終演後は、遅めのランチの為に、歩いて神田駅へ「かき小屋 飛梅 神田西口店」(画像⑰)に入店しました。三陸直送の牡蠣や仙台牛タン、東北の地酒などを堪能できる居酒屋さんでした。今回はランチのため、「牡蠣飯デラックス定食」(画像⑱)を頼みました。生牡蠣1ヶ、カキフライ2ヶ、牡蠣飯と牡蠣汁、どの牡蠣も大粒でした。夕方からだと焼牡蠣、芋煮鍋、牛タン炭火焼、ほや刺身、殻付きウニ、ホタテの浜焼きなどなど酒の肴を堪能出来るようなので、又、機会があったら通ってみたいお店でした。
(画像⑰かき小屋 飛梅 神田西口店)
(画像⑱牡蠣飯デラックス定食)
2023.10.16 清八