「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

 

 

「2021年、コロナ自粛中のエトセトラを報告?します 8月篇 」

 

 清八でございます。 お暑うございます 。 8月に入っても 「外出自粛!」相変わらず、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして 学習しております。

 それでは、8月を報告させていただきます。

 先ずは、ごめんなさいです。実は、8月下旬に二泊三日の国内旅行を予定しておりました。久しぶりに、現地での「食レポ」を書けると期待し、お金も時間も節約しておりました。「緊急事態宣言!」発令日にキャンセルしましたが、入手出来た「食」に関する書籍は少なくなり、「食レポ」は「幻」となってしまいました。

 

「サンキュータツオ国語辞典を食べ歩く女子栄養大学出版部」(2021.7.10発行)新刊本
著者のサンキュータツオさんは、漫才「米粒写経」として演芸場の舞台に上がっていますが、一橋大学・早稲田大学などで非常勤講師を務める学者芸人です。2019年度に、NHKラジオ「すっぴん!」の月曜日パーソナリティでした。この書籍では、「岩波国語辞典」「三省堂国語辞典」「新明解国語辞典」「明鏡国語辞典」など、誰でも学生時代に読んだであろう、国内の国語辞典19冊から「食べ物」にまつわる言葉を引き比べてくれました。
例えば、61~65頁では、「おでんの具」は、国語辞典によって、どのような記載されているのか?「三省堂国語辞典」では「野菜・こんにゃく・ちくわ」なんだけど、「集英社国語辞典」では「豆腐・こんにゃく・芋・はんぺん・がんもどき」、「大辞泉」には「さつまあげ・はんぺん・焼きちくわ・つみれ・蒟蒻・大根」と増えていきます。
例えば、213~217頁「うどん」、「岩波国語辞典」では「小麦粉をねって薄くのし、細長く切った食品」と、いたってシンプルな内容なのですが、「明鏡国語辞典」では「小麦粉に少量の塩を加えて水でこね、薄く打ちのばしてから細長く切った食品。幅を広く作った『ひもかわ』『きしめん』などもある。」
国語辞典の中の「グルメ情報」「レシピ情報」「食べ物うんちく」など、「自粛」期間中のバイブルとして活用出来る一冊なんです。お奨め致します。(画像①)

 


(画像①サンキュータツオ)

 

 

「沢村貞子 わたしの茶の間 光文社」(1982.12.10発行)中古本
1996年にお亡くなりになった名女優で、エッセイストとしても10冊以上の名著を世に出されました。81~82頁「台所の季節感」には、「私から季節の楽しみを奪ったのは苺だけではない。胡瓜も茄子もトマトも……どうしてこんなに年がら年じゅう、みてくればかりのまずいものが出まわっているのだろう。いまは、寒中、筍が欲しければ、罐詰、冷凍という便利なものがある。せめて生野菜だけには、季節のおいしさを残してほしいと思う。」昭和55年頃に書かれた内容です。古いエッセイでしょうか?「旬」って、まだ「死語?」にはなっていませんよね。244~265頁「女優に関する十二章」は、昭和29年、東宝映画「潮騒」の撮影中に書かれたものです。これも貴重な内容だと思いました。(画像②)


(画像②わたしの茶の間 )

 

 

「和田はつ子 著 料理人季蔵捕物控 天狗そば ハルキ文庫」(2019.6.18発行)中古本
2007年から発行されている「料理人季蔵捕物控シリーズ」の37巻。日本橋・木原店の一膳飯屋「塩梅屋」の季蔵が料理人と奉行の隠れ者としての活躍を描いています。 103~152頁、「第三話 辻占菓子」には、バジルが登場していました。「海老かね」という料理のレシピなんですが、「海老かねは海老の身を叩いて擂りおろした生姜汁、塩少々を加えておく。先代長次郎の代から親しくしていて、薬草園を持っている薬種問屋良好堂の暖室で育てられているメボウキ(バジル)少々を入手したので、これを使う。代わりに早生の青紫蘇でもよい。これを刻んで海老のすり身に加えて小さく平たく丸め、油で揚げる。」と書いてあります。おわかりでしょうか? 私の大好きなシリーズ本なのですが、巻末の「参考文献」に、農文協の「日本の食生活全集」が必ず、あります。私は、35年以上前、この全集50巻、全県分を購入して全巻読破してありました。この全集内のレシピは昭和30年代なのですが、疑似時代劇の中に、うまく取り入れていると、感心しながら読んでおります。(画像③)

 


(画像③天狗そば)

 

 

「新潮社 月刊誌 波8月号」(2021.8.27発行)新刊本
66~72頁に、居酒屋研究家の太田和彦さんの特別エッセイが「ミニシアター巡礼が私を作った」。冒頭に「私の趣味の第一は映画だ。」とあった。中国から引き揚げてきた父の故郷・松本での唯一の娯楽が「映画」。16歳で初めて一人で観た作品が黒澤明「生きる」「七人の侍」「野良犬」「酔いどれ天使」というベスト。大学入学で上京してからは、下北沢の二番館、三番館。卒業して就職後も名画座通いの日々。今回の原稿は、昨年4月以降、「緊急事態宣言」によるミニシアターの休業、閉鎖、休館の中で映画文化を守る活動を紹介してくれました。浜松市内には、2008年12月5日からオープン、継続している「シネマイーラ」があります。観客定数半分の頃も、館内飲食禁止の今でも、私は通い続けております。浜松市民の方、会員になって映画を観て下さい。コロナ禍の前、東北大震災の復旧現場を見に、東北を廻り、地元の居酒屋巡りをして地元に現金を使っていました。その時、居酒屋選びに利用させていただいたのが、グルメサイトではなく、太田さんの居酒屋本でした、ありがとうございました。(画像④)

 


(画像④波8月号)

 

 

「別冊うかたま 伝え継ぐ日本の家庭料理 四季の行事食」(2021.9.1発行)新刊本
2017年12月1日から発行していた「伝え継ぐ日本の家庭料理」全16巻、完結しました。一般社団法人日本調理科学会創立50周年記念事業の一つとして、昭和35年から45年までに地域に定着していた家庭料理、約1900品を集め、そのレシピを記録されました。その16巻は「四季の行事食」、年末年始以外で、各地のさまざまな行事でつくられる料理でした。今回、どのような理由なのか、「青森県」と「静岡県」 はありませんでした。湖西市新居町で生れ育った者としては、「恵比寿講」の時の、季節の根菜類の煮揚げは「行事食」だと思っていたので、残念でした。80頁には、愛知県の「お講大根」が掲載されておりました。大根と油揚げの煮物です。新居町は豊橋の旧・吉田藩でしたので、この料理も子供の頃から食してました。(画像⑤)

 


(画像⑤別冊うかたま)

 

 

※8月17日に、笑福亭仁鶴さんが84歳でお亡くなりになりました。私が初めてテレビで見て、存在を知ったのは1970年頃の「ヤングおー!おー!」だったと記憶しています。私が生れ育ち、現在も生活している新居町では、子供の頃から、関西系のテレビ・ラジオが視聴出来ました。受験勉強だと言って、深夜放送を聴きまくっていました。


いろんな番組に出演されていて、小噺やトークを聴いていました。さて、仁鶴さんですが、76年10月24日、浜松に初来演されていたのです。当時の音楽鑑賞団体「遠州文化連盟」が始めた「えんしゅう寄席」の企画で、当時の聴濤館大広間が会場でした。私は、前年からスタッフとしてお手伝いをしていて、当日は、舞台の袖で音響係を担当しておりました。当日の出演者と演目は記録してありました。笑福亭仁福「遊山船」、笑福亭仁鶴「色事問答」、月亭八方「こんにゃく問答」、笑福亭仁鶴「黄金の大黒」「崇徳院」でした。当然、録音は「厳禁」なので音源は残ってはおりません。でも、私の頭の中にはまだ残っています。当時、購入出来た、74年頃に大阪市内のホールで収録されたLPレコードは保管してありますので、当時の声質、リズム、テンポは思い出すことが出来ます。たくさんの笑いを届けていただき、ありがとうございました。(画像⑥⑦)

 

 


(画像⑥)

 

 


(画像⑦)

 

 

私自身は、68年頃に「ハイ!土曜日です」で桂米朝さんを知って「米朝落語」が好きになり、コピーして二十歳頃から人前で演じた事から現在に至っております。学生時代から新聞記者さんやラジオのパーソナリティさんたちから「どうして、上方落語なんですか?」と何十回と質問されてきました。私は、「新しもの好き」だったので、当時の「上方の言葉遣い」「上方のお笑い」「上方落語」に、「新しもの」として興味を持ち惹きつけられていった、と答えてきました。今の「Apple製品」、当時のMacintoshに興味を持って、購入、40年間使い続けているのも「新しもの好き」だからなんです。

 

 

2021.9.7 清八



38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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