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画像① |
清八でございます。たいへんごぶさたでござりました。「言うまいと思えど今年の暑さかな」、残暑お見舞い申し上げます。一昨年の9月17日に初体験させていただいた滋賀県長浜市余呉町の発酵食オーベルジュ「徳山鮓」さん(画像①)に裏を返すことができました。本来、この言葉は、江戸時代の遊里で遊女を二度目に指名し贔屓にするという意味なのですが、噺家のコラムですので使うことにしました。ちなみに三度目を「馴染み」と言います。このお店については、当時の「ちりとてちん」108と109でレポートしてありますので、バックナンバーを読み返してみて下さいね。近江の鮒鮓が大好きだったことからたどり着いたのが、この「徳山鮓」でした。「鮓」と表現しているのは、「寿司」でも「鮨」でもないからです。日本古来の保存食、健康補助食としての発酵食品なのです。酒の肴にもよく合い、ご飯のおかずによくて、老若男女が食することができるものです。
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画像② |
今回は、8月3日(土)の昼席を予約できました。新居町を8時11分発の下りで豊橋へ、特別快速に乗り換えて米原行きのはずが、この日は、JR貨物列車の朝7時の火災事故で豊橋からの下り列車が20遅れだったため間違えて大垣行に乗ってしまったのです。ところが、関ヶ原~米原間が不通という情報が入ったため、名古屋で降車、米原まで新幹線に乗り換えることができたのです。(この間に、静岡県・愛知県・岐阜県で地震が発生していたため新幹線も緊急停止状態でした)米原からのJR北陸本線・新快速には間に合ったため余呉駅には予定どおり11時29分に到着することができました。お店までは約3キロ、徒歩でも可能なのですが、炎天下で気温36度のため、ご主人の運転で迎えに来ていただけました。徳山鮓はご夫婦での経営ですので宿泊は二組、昼席も三組限定とのことです。そのため週末は予約が難しいはずです。この日も三組でした。8人掛けの大きな木のテーブル(画像②)からは、余呉湖が見渡せました。12時過ぎから料理が一皿ずつ出てきました。当然、日本酒なのですが、さすがに先ずビールを頼んでおりました。
一皿目は、「鹿肉の佃煮」(画像③)、ここで純米酒の地酒「紫霞の湖(しがのうみ)」(画像④)が登場です。長浜市木之本町の「富田酒造」さんの名酒です。二皿目は「鰻の湯引き」(画像⑤)です。湯引き肝も添えられていました。三皿目は「鯖の熟鮓」(画像⑥)です。鯖の上にかけられているのは、チーズとトマトソースです。いい組合せだと感心します。
四皿目は「余呉湖の天然鰻」(画像⑦)です。前回は、白焼きでしたが今回は、蒲焼でした。理由を伺うと、例年に比べて鰻の育ちが悪かったり、釣れないことが多く苦慮されているとのことでした。少し、小ぶりでしたので、私は半助(頭)(画像⑧)もバリバリといただきました。上にのっているのは山椒の実です。この山椒の実でいただく一本焼きの食べ方が私は一番好きです。いつの頃からか、ご飯のおかず、しかも小さな子供にも食べられる形になってしまった鰻丼や鰻重を好まれているとは思いますが、これは目からうろこの食べ方だと思います。本当においしいですよ。五皿目は「稚鮎」(画像⑨)でした。六皿目は「稚鮎の酢漬け」(画像⑩)と続きました。
七皿目は「鮒鮓」(画像⑪)です。白く見えているのが「飯」で、黄色く見えているのが蜂蜜です。この蜂蜜によってマイルドな味わいとなり、日本一の鮒鮓になっていると思います。八皿目は「琵琶湖鱒のお造り」(画像⑫)でした。九皿目が締めの「熊鍋の雑炊」(画像⑬)。すっぽんスープに熊肉のミンチ、全く臭みがありません。そして、デザートの「鮒すしの飯のアイス」(画像⑭)、以上10点で税込み8400円のコースでございました。今回、二年前の「ちりとてちん」のコピーをご主人にお渡しして読んでいただけたのですが、紹介内容を納得していただけました。今回は、名古屋・米原間を新幹線利用でしたが、二川からの2500円周遊チケットで日帰りできる土地に暮らしている幸せを感じております。私は、コンセイエもアドバイザーの資格も持っていませんし、能力もありませんが、もし許していただけるならば、ベルギービールとの組合せで食してみたいと考えてしまいます。何しろ、ベルギービールも発酵酒の一つですから。余計な自慢ですが、ベルギービールを実際に飲み味わっている愛好者の一人としては、静岡県人の中では、体験量・質ともに上位ランクだと自負しております。それからお読みになった方も多いと思いますが、BRUTUS8月1日号に「おいしい自然派」とし、この徳山鮓さんが特集されていました。まだ入手可能ですので、ご興味を持たれた方はどうぞ。
徳山鮓 http://www.zb.ztv.ne.jp/tokuyamazushi/