「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「ビール税のお勉強しましょう」

 清八でございます。
「第3のビール」への増税は先送りとなりましたが、逆にビールの税金が高すぎるということが曖昧にされてしまったきらいがありますので、私が見たり聞いたり読んだりした又聞きをご紹介させていただきます。

 先ず、日本の酒税法で定義されているビールとは、「麦芽、ホップ、水を原料として発酵させた、いわゆる麦芽100%ビール」。例えば、エビスビールのことです。もう一つのビール定義として、「麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品(副材料)を原料として発酵させたもの(ただし、原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の10分の5を超えないものに限る)」この副材料とは、具体的には、麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類のことなんです。そして、この副材料が麦芽の重量の10分の5を超えたものが雑酒で、これまで発泡酒といわれてきたものです。「第3のビール」といわれているものは、原料にエンドウマメや麦焼酎を使い麦芽を使わないことによって「雑酒」「リキュール類」の定義に合わせようとしたものです。

 ちなみに、ビールの本場ドイツには1516年ヴィルヘルム4世によって発令された「ビール純粋令」が現在でも適用されていて「ビールは、麦芽、ホップ、酵母、水のみを原料とすべし」という定義です。税金の差ですが、350ml当りでビールは77円70銭、発泡酒(麦芽25%未満)は46円99銭となっています。どうして、こんな税額になってしまったのか、いろいろな理由があります。国税として徴収しやすいから、というのが一番の理由です。大手メーカーは子供でも知っている位の社数ですね。明治の初めに、欧米からウィスキーやワイン、ビールが入ってきた頃、殆どの日本人は本物を知りませんでしたから、「混成酒」を本物のごとく見せかけて国内に流通させたそうです。メーカーにしても消費者にしても酒税の概念が理解できませんから、当時のお役人が勝手に決めた率で支払い続けてきたというのが実情ではないでしょうか。歴史の時間にお勉強されたはずですが、日清・日露の戦費とその後の軍備増強費の財源として着目した、時の政府によって地ビール会社がまとめられ、現在の大手メーカーになっているという経緯もあります。煙草も同様に、地煙草会社が解体され専売公社とされ、税金を徴収しやすくされたのです。

 今回、このような堅苦しい講義のようになってしまってごめんちゃい。以前にも書かせていただいたのですが、大手メーカーは、日本人の嗜好・味覚を研究して、米やでんぷんを入れ、麦芽を減らして、すっきりした味わいを開発したと言い続けていますが、はたしてそうなんでしょうか。という疑問をいつも抱き続けてきました。発泡酒やビール風アルコール飲料の方が、作るのも楽だし、利益率が高いのですよ。酒税法に対抗するために新ビールを開発していくことが大手ビールメーカーの企業努力とは、信用したくありません。もし、今後も明治初期のように「混成酒」を作り流通させていくのならば、本物のビール(酒も含めて)を作っている会社(地ビール・地酒)に対して税率減とか、何らかのバックアップも検討され、フェアにしていただきたいと思うのです。

 追伸
ビールのサイトに掲載されていたのですが、ある居酒屋で「生中」を頼んだら、中ジョッキに入っていたのはビールではなく「発泡酒」だったそうです。そのお店の理屈としては「生ビール」ではなく「生中」だという言い訳だったとのことです。そうそう、大ジョッキの量の定義って無いんだそうです。600mlでも800mlでも文句は言えないんだそうです。でも、何か変ですね。

2004.12.6


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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