「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「2024年、アフターコロナのエトセトラを報告?します 12月篇」

 

 清八でございます。毎月、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして学習しております。それでは、12月分を報告させていただきます。燕三条グルメツアーのレポもあります。

 

■地球の歩き方編「地球のかじり方 世界のレシピBOOK」学研プラス(2022.6.28) 中古本

 コロナ禍の3~4年、旅館・ホテルなどの宿泊施設、交通機関、飲食店、旅行代理店など様々な業者が影響を受けておりました。アフターコロナの時代に移行しても、まだまだ影響は残っておりますね。誰しも一度は手に取って読まれたことのある「地球の歩き方」は2019~2020年にかけて売上が9割減、経営の危機的状況に陥りますが、国内に目を向けた「東京」「大阪」「横浜」「京都」などがヒットしたり、「世界の〇〇図鑑」シリーズなど、形を変えて出版されています。

 この世界のレシピ本は、世界を5つのエリア(アジア・ヨーロッパ・アメリカ・アフリカ・オセアニア)に分けて62の国・地域の食文化を伝えてくれてます。現地の料理を日本国内で入手できる食材や調味料を使って、家庭で作れるレシピにしてありました。アジアも東アジア・東南アジア・中央アジア・南アジア・西アジアに分けて、それぞれの食文化についての説明も豊富です。台湾の夜市の屋台では必ず提供される「オアチェン」。小ぶりの牡蠣入りのオムレツです。台湾ではさつまいも粉を使うのですが、代わりにタピオカ粉と片栗粉を混ぜ合わせて使うことで、もっちり感を再現できるとのことです。18~19頁に掲載されてました。

 ヨーロッパは、北欧・西欧・東欧・南欧に分けて、古代ギリシャやローマ帝国からどのように料理文化が伝わっていったのかが理解できるように解説されています。74頁には私の大好きなベルギーの「ムール・フリッツ」のレシピが掲載されています。やはり味付けは玉ねぎ・セロリ・にんにく・パセリ、バターと白ワインでした。もう30年前に初めてブリュージュに行った時、現地ガイドに聞いて「ムール貝専門店」に行き、お店の外でバケツに入ったムール貝とベルギービールを各2種頼んで堪能したことを記憶してます。ベルギー国内では6~7店で食しましたが、いろいろな環境が好転したら久しぶりに行ってみたいものです。(画像①) 

 


(画像①地球のかじり方)

 

■小泉武夫著「食いしん坊発明家」新潮社(2020.4.15) 中古本

 農学博士であり、特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長の小泉氏が出身地である福島県での子供時代から大学卒業までの食べ物との係わりを小説風に書いていました。小学生の頃の一番の思い出は母親と油揚げでした。

「‥俺の母は油揚げ料理の名人だった。一番の得意は稲荷ずしで、それはそれは本当にうまかった。甘過ぎず、しょっぱ過ぎず、甘さとうまさが互いに溶け合い、そこに重厚だが弾むような油の味がからまり、酢飯からの甘味も追っかけて行き、口の中で一体となってとてもおいしいものだった。しかし、何と言ってもお袋の味の最大の思い出は油揚げの煮付けが毎日毎日、弁当の飯の上に乗っていたことだった。とにかく毎日食っても飽きず、俺の方から弁当には必ず油揚げの煮付けを入れてくれと頼んだのでそうなったのだ。ある時、台所でその油揚げの煮付けを作るところを見せてもらったのを今でも覚えている。カツオ節のだしを使って、酒と味醂と醤油だけで煮含ませて丁寧にこしらえていた。‥」

 何気ない内容だったけど、私も子供の頃、実家のお袋が稲荷すしか油揚げの煮付けをよく作ってくれて大好きだったのを思い出しました。(画像②)

 


(画像②食いしん坊発明家)

 

 

■土井善晴著「おいしいもののまわり」グラフィック社(2017.4.25) 中古本

 テレビ朝日「かおずクッキング」に2007年から2012年まで連載された「おいしいもののまわり」を大幅に加筆・修正された単行本でした。

 66~70頁の「水を料理する」。なかなかの内容でした。「‥おひつを洗いながら残ったご飯粒を、もったいないと口にするご飯の味はとてもおいしいものだ。経験がある人は分かると思うが、ご飯の味が水の中で際立つのか、ご飯の味に水の味が際立つのか、とても清らかな心洗われるような味がする。こういう予期しないおいしさに出会うと、どうしてこんなにおいしいんだろうか、といつも考え始める。‥」

 3~5頁の「はじめに」もなかなかの内容でした。「‥家庭でもいつの間にか、食べる人(食べること)が、主役になっていた。食べる人というのは、お腹が空けば機嫌が悪くなる。お腹を空かして、メニューを見れば、濃厚で量の多い空腹を満たす料理を選ぶ。お腹を空かしてデパ地下を歩けば、なんでもおいしそうに見えてきて、気がつけば食べきれないほど、余計なものを買っている。そのような食べる人が私の中にもある。ようするに、食べる人というのは、感情的で、自分勝手なものなのだ。すでに冷静ではないといえる。そんな“食べる人”に、大切な食べることを任すわけにはいかない。‥」(画添③)

 


(画像③おいしいもののまわり)

 

 

■相場正一郎著「道具と料理」ミルブックス(2021.11.1) 中古本

 1994年から99年にイタリア・トスカーナ地方で修行され、2003年東京・代々木にカジュアルレストラン「LIFE」をオープンされた相場正一郎シェフが愛用道具から生み出された新しい発想の料理について書かれていました。

 32~35頁は「無印良品のミニカセットコンロ」と「リコッタチーズのパンケーキ」でした。「‥たとえば、朝食はタークのフライパンを置いて、パンケーキを焼く。昼はカレーを煮込んだ鍋を置いて、銘々で熱々を少しずつ食べる。夜はチキンのトマト煮込みを調理した鍋をそのまま置き、各自がホカホカのソースをクスクスにかける。時に、鍋の上に蒸し器を置き、野菜を蒸しながら食べることもある。ホクホクの甘味が全身に染み渡り、旬野菜の滋味がしみじみ感じられる。‥」拙宅では、寒い時期は昼も夜もこうした食べ方が多くなりますね。

 64~67頁は「キャプテンスタックのバーナー」と「ムール貝とアサリのリゾット」でした。「僕はキャンプに行くことはほとんどないので、いわゆるキャンプ料理をすることはない。しかし、サーフィンが趣味で、時々海に出掛ける。寒い季節は身体が冷え切ってしまうので、海から出たらすぐ熱いものを飲んで芯から温めたい。そんな時にキャンプ用のガスバーナーが大活躍する。‥よく行く海岸近くに、美味しい蟹汁を売っている販売所がある。最後にガスバーナーで温めて食べるのがお決まりで、僕の大好物だ。それに負けない、芯から身体が温まるガスバーナー料理を考えた。これが僕にとっての、世界一の鉱物になるかもしれない。」これは、ムール貝がなくても、アサリとエビでもおいしそうですね。(画像④)

 


(画像④道具と料理)

 

 

■公益社団法人日本茶業中央会監修「新版 日本茶の図鑑」マイナビ出版(2021.1.31)中古

 日本茶の品種、地域別の品種の違い、日本茶の淹れ方、日本茶の歴史、いただくときのマナーなど、わかりやすく一冊にまとめられています。

 168~171頁に「日本茶を楽しむ用語集」が書かれていました。
「官能審査[かんのうしんさ]とは、人間の感覚をもとに行われる、お茶の品質評価方法のひとつ。審査員らが、外観(形や色)と、香り、水色、味を点数で評価する。」審査方法とのことです。」

 「水色[すいしょく]は、お茶を淹れたときの浸出液の色を指す。品質の審査項目のひとつで、透明感や色などを観察して評価する。」ことです。

 「滋味[じみ]とは、一般的には『うまい』味わいを意味するが、お茶の場合は品質の審査項目のひとつ。うま味の多少、渋味・苦味との調和、コクやあと味によって総合的に評価される。」ことです。(画像⑤)

 

 


(画像⑤新版 日本茶の図鑑)

 

 

■安部夜郎著「深夜食堂21」小学館 (2019.3.5) 中古本

 今回のお品書きは、「チキンライス」「タラの芽の天ぷら」「春キャベツ炒めペペロンチーノ風」「手羽先の唐揚げ」「カレーラーメン」「大根おろし」「とうもろこしのかき揚げ」「わさび漬け」「なすときゅうり」「塩焼きそば」「ネギトン」「レモンサワー」「ひじきの煮物」「カキのホイル焼き」でした。

 25~34頁の「春キャベツ炒めペペロンチーノ風」のレシピは「オリーブオイルに刻んだニンニクと鷹の爪、アンチョビを少し入れて熱したところへ、春キャベツをサッと入れて炒める、パスタ抜きのキャベツ炒め?」でした。

 107~116頁の「ネギトン」のレシピは「‥バーコン麺の上にのっかってる豚肉に衣を付けて揚げたカツに、たっぷりの青ネギを添えて上からポン酢をかける。」でした。(画像⑥)

 


(画像⑥深夜食堂21)

 

 

 12月4日(水)は、新潟県燕三条市と燕市に日帰り旅行でした。私が42年間続けている地域寄席の会場である本果寺の本山が「法華宗総本山本成寺(ほんじょうじ)」で、昨年5月26日の「八代目柳亭小燕枝の会」の打上げ時に、ご住職からお誘いを受けました。そこでスタッフの有志と共に大人の遠足となった訳です。

 ご住職のご手配により、7時28分新居町発で、東京経由の新幹線で燕三条駅には11時16分着でした。予約していただいていた小嶋屋総本店・燕三条店(画像⑦)に11時30分には入店、有名な「へぎそば」(画像⑧)を〆に、「天ぷら盛り合わせ」(画像⑨)、「そば屋のだし巻き玉子」、「栃尾の油揚げ」、「タレかつ」(画像⑩)。当然、生ビールに日本酒と大宴会になってしまいました。豪華な昼食の後は、手配していただいたタクシーに乗車して、今回の目的である総本山(画像⑪)へ向かいました。檀家ではないのですが、ご丁重なお出迎えをいただき、応接室では名物の笹団子をいただきました。(画像⑫)この長久山本成寺は、永仁五年(1297)日印聖人によって開かれた寺で、正和二年(1313)三條領主山吉定明、長久の寄進により建立され現在の立派な寺となったとのご説明でした。もったいないことですが、普通は立ち入ることが出来ないお部屋も案内していただけました。また、恐縮してしまうお土産まで用意してありました。(画像⑬)

 

 


(画像⑦小嶋屋総本店)

 


(画像⑧へぎそば)

 


(画像⑨天ぷら盛り合わせ)

 


(画像⑩タレかつ)

 


(画像⑪)

 


(画像⑫)

  

 


(画像⑬)

 

 この後は、先ほどの笹団子の製造元「とやま団子屋」さんに向かいました。このお店(画像⑭)は、明治時代からの老舗で、しょうゆおこわ(画像⑮)ときんぴら団子(画像⑯)も名物でお土産に購入しました。どちらも絶品でしたよ。

 

 


(画像⑭とやま団子屋)

 

 


(画像⑮しょうゆおこわ)

 

 


(画像⑯きんぴら団子)

 

 昼食とおやつで堪能させていただいた後は、今回の次の目的である燕三条の洋食器・包丁・爪切りなどの加工現場の見学と購入に回りました。なにしろ、日帰りの為17時には燕三条駅近くの居酒屋・「海産問屋 北野水産 燕三条店」で打上げ、19時10分の新幹線に乗る必要があるのです。久保田の飲み比べ(画像⑰)をいただきながら「刺身の盛合せ」(画像⑱)、「栃尾の油揚げ」(画像⑲)、「カキフライ」(画像⑳)、つぶ貝、などなど、次は泊りでゆっくり堪能したいと思います。列車の遅れもなく、無事に22時47分、新居町駅に戻ってまいりました。お疲れ様でございました。

 

 


(画像⑰久保田の飲み比べ)

 

 


(画像⑱刺身の盛合せ)

 

 


(画像⑲栃尾の油揚げ)

 

 


(画像⑳カキフライ)

 

2025.1.27 清八



38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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