「ちりとてちん」?
実は落語の演目です。三味線の音色から取られた“微妙な”食材(?)「ちりとてちん」。
噺家の目から見た“食”の話題を取り上げてもらいます。さて、どんな話が飛び出すのやら・・・

「人に教えたくない店、その2」

 清八でございます。

 10月25日から26日で、下呂市・高山市へ行ってきました。当初の目的は登山だったのですが、大幅に予定変更でグルメツアーになってしまいました。

 25日のお昼は、下呂を通過して小坂町へ。濁河温泉の途中、「ひめしゃがの湯」を通過してしばらく走ると右手に古民家があります。このお店が「平氏ヶ原」というお蕎麦屋さんなんです。ホームページ情報がありませんので、知る人ぞ知るこだわりの店です。囲炉裏の間があったり、古民具、鎧が展示されていたり、裏の川にはアマゴや鮎も放流されていて、夏場は釣堀でにぎわっています。ざる蕎麦、とろろ蕎麦、山菜そば、山菜天麩羅、鮎・アマゴの塩焼き、そして今回は茸ご飯などが主なメニューでした。今回、運がよく本物の新蕎麦がありましたので注文しましたが、香りが良く、腰があって堪能できました。

 写真①が、その新蕎麦で、写真②が、お店の正面です。食後、巌立峡で紅葉と滝廻りで腹ごなしをして、「ひめしゃがの湯」へ。ここのお湯はぬるめなのですが、なかなか冷えないという、これからシーズンにはありがたい温泉なのです。それでも、外気が10度に下がってきたので、定宿へ向かいました。

 下呂市での私の定宿は萩原町の「赤かぶ」です。この宿は、私の35年来の友人が25年前に、当時の飛騨萩原町に明治二年の飛騨民家を移築、ユースゲストハウス(青年民宿)としてオープン、これまで落語愛好者の仲間として落語会を企画したり、「わいわいワイン会」を開催したり、ヨーロッパやニュージーランドのユースホステル情報の交換場所として営業を続けています。あの狂牛病から少しイメージダウンしてしまいましたが、民宿で「飛騨牛のしゃぶしゃぶ」をドイツワインでいただけるという貴重な宿として有名になりました。今では、「飛騨けんとんのしゃぶしゃぶ」「鶏ちゃん鍋」とメニューは広がって、又、楽しめる宿になっています。こちらは、次のURLを覗いてみて下さい。http://www.akakabu-wa.com/

 翌日は、高山市へ向かい、久々野町の「坂本酒店」に立ち寄りました。下呂市から高山方面へ約1時間走行し、アルコピアスキー場交差点を右折すると正面にアルザス地方の建物があります。大きな看板を付けていないので徐行しながら確認して下さい。「人に教えたくない店、その1」でご紹介しました、この酒屋さんですが、飛騨の日本酒はもとより、私がきっかけをつくってしまったベルギービールを直輸入し、早くからドイツワインを扱っていてくれた酒店です。拙宅で20年以上続けている「わいわいワイン会」用のワイン、そして二年前からはチーズも取り寄せています。この坂本ファミリーは、ベルギービールとワイン、そして沖縄泡盛を中部地方で普及させるため現地まで出向き勉強を続けられています。店主は、表面上はご自身の健康管理を理由にされているのですが、(大きな字では書けませんが、日本のビールは死んだ酵母菌が入っているという理由なんです)日本のビールは一切飲まない事にしているようです。居酒屋さんにしてもパブにしてもベルギービールを持ち込み、祝儀不祝儀の席でも持ち込まれるそうです。当然、出入りを拒否される飲食店もありますが、逆に賛同者も増えてきているようです。今回は、運転手なのでベルギービールもワインも試飲が できず、高山市内のラーメン屋を紹介していただきました。それが、写真③の「つづみ」さんです。高山駅から北東に徒歩10分位の飲み屋街にありました。12時半頃で、さすがに10人程の行列ができていました。店内には5人程待っていました。カウンターとテーブル席で40席、時間がかかると思いましたが、アルコール類、ご飯もの、餃子はなく、中華そば、チャーシュー麺、ワンタン、ワンタン麺のみ、10分待ちで入店できました。おばあちゃん、お母さん、娘さんの三代で切り盛りされているようで、細い縮れ麺、スープはなつかしいあっさりしょう油味、正に、昭和20年代の中華そばでした。これは、かなり記憶に残ってしまうお店になりました。坂本酒店さんで伺ったのですが、「高山ラーメン」という統一ブランドはなく、その店、その店で、すべてスープと麺、具が異なっているんだそうです。今後、いろいろな店の食べ歩きをしてみようと思います。

写真①
写真②
写真③

 さて、今回のメインイベントのパン購入です。高山駅から10分程下呂に戻ったところにある「ブランジェリー・トランブルー」さんに立ち寄りました。今年の4月に探して探して、 やっと見つけたところ日曜日休みの看板にがっかりして帰宅したからです。今回は、休日を確認の上、しかも購入できるパンを予約、焼きあがる時間を確認しての再訪となりました。このパン屋さんも坂本酒店さんの紹介なのですが、ホームページでパンの画像を拝見して、クロワッサンについては、あの世界一のメゾンカイザーさんより上位ではないかと個人的にイメージしてしまったのです。

 当日、購入できたのはクロワッサン(写真④)、大納言(写真⑤の奥)、トマトとバジルのパン(写真⑤の手前)、全粒粉のパン(写真⑥)、イギリスパン、Tバゲット、ピスタチオのクロワッサン、りんごとくるみのデニッシュ、オランジュです。食べてみた感想は、クロワッサンはメゾンカイザーさんより上だと思います。職人さんには申し訳なかったのですが、焼きあがった当日から毎日同じパンを食べ続けて、そのパン肌の変化を楽しんでいます。特にクロワッサンは四日目でも素晴らしい味と肌でした。予約しておいて正解でした。他県ナンバーの車が次から次へと駐車場に停まっては店に入るなり、焼きあがっているパンを次から次へと購入されていきますから、あっという間に消えていくのです。

 坂本酒店さんも赤かぶさんも、何で、こんなに評判なのかわからないと言われていましたが、これは粉と水が優れているからです。厨房内を覗かせていただきましたが、特殊な窯も調合機も使っていませんでした。私は、世界中、食べ歩いてきたわけではありませんが、おそらく世界一のレベルだと確信できます。本当に、おおきに、でございます。余計な情報ですが、写真⑤の奥のビールはアサヒの資本が入る前の本物のヒューガルテンビールの大瓶です。今後、同じビールが飲めなくなるからと坂本酒店さんが買い占めたそうです。

写真④
写真⑤
写真⑥

 ところで、このトランブルーのお弟子さんが浜松市内にオープンされているそうです。富塚の主婦の店の隣に10月30日オープンの「ブーランジェリー・カセル」さんです。日曜・月曜休みということなので、来週になりますが伺ってみたいと思います。楽しみです。トランブルーさんのURLです。
http://www.trainbleu.com/

2008.11.3


38年間、お付き合いしている長野市戸隠の森の喫茶店です。


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