清八でございます。遅くなりました。毎月、「食」に関する書籍・漫画・DVDなど、主に中古品を探しては買い求め、読んだり、観たりして学習しております。
それでは、3月分を報告させていただきます。
■「空えぐみ 沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる1~3」新潮社
(2020.7.15 2021.2.15 2021.8.15)中古漫画本
:
東京から沖縄の高校に転校した中村くんが同級生の喜屋武さんに好意を寄せているが、彼女の話す「うちなーぐち」が理解できず、同級生やおじぃ、おばぁ、に助けられ異文化恋愛というストーリー展開。2021年「第七回沖縄書店大賞」で沖縄部門の準優勝受賞、漫画としては同賞初の受賞作。単行本の累計部数は20万部超え!という。
基本、セリフやフキダシは「うちなーぐち」で書かれています。「うちなータイム」とか「カメ―カメ―」「カチャーシー」「ちむどんどん」「うちなーそば」「しまぞうり」「シーサー」などなど、沖縄の文化・芸能・生活から「沖縄ネタ」満載のコミックでした。
私は、この「ちりとてちん」を始めた2003年No.007から「沖縄ネタ」を頻繁に書かせていただいております。実は、妹が沖縄で結婚して暮らしております。26年位前、姪が幼稚園の頃から、コロナ禍前までは定期的に、沖縄に通っておりました。現地での結婚式、二次会から親戚と一升瓶の泡盛と「ヤギの刺身」を経験しております。観光客があまり行かない飲食店・居酒屋、レコード店、古書店、ライブハウス、学校、離島のキャンプなど様々に体験させていただきました。なので、このコミックに取り上げられている「うちなーぐち」と作者が体験された「沖縄ネタ」、すべて理解出来ました。
第2巻の19話「恋のうちなーすばむぬがたい」。この漫画では、1976年、小麦粉ほぼ100%の「沖縄そば」は、そば粉が30%以上入っていないから「そば」と名乗ってはいけないと、公正取引委員会が禁止されてしまう。「小麦粉を固めて細長く伸ばした黄色みがかった沖縄の麺料理」となってしまいます。そこで、沖縄製麺協同組合が立ち上がり、沖縄そばがいかに県民に根付いた歴史的食文化であるかを上京し、何度も訴えた結果、1978年10月17日「沖縄そば」の名称が許された、と描かれていました。1997年には、10月17日は「沖縄そばの日」に制定されています。ちなみに、私が一番好きな沖縄そばは、「野菜そば」なんです。キャベツ、玉ねぎ、にんじん、ニラ、もやしなど細切りにしてフライパンで炒め調味料を入れて馴染ませ、別に用意してある丼の麺に温めてあるつゆと、この野菜炒めを盛りつけた一品です。お店によって異なりますが、「小」を頼まないと、いつまでたっても野菜炒めで、麺までたどり着きません。タンメンともちゃんぽんとも、ひと味違うおいしさです。(画像①)
(画像① 沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる)
■「安倍夜郎著 深夜食堂19」小学館
(2017.12.5発行)中古漫画本
:
今回のお品書きは、「卵かけごはん」「芽キャベツの素揚げ」「みそバターラーメン」「小松菜と油揚げの炒め煮」「焼きそばパン」「納豆入り玉子焼き」「タコキムチ」「ねぎ塩ポークソテー」「ポテトチップス」「バンバンジー」「ミックスフライ」「パクチー」「肉巻き谷中しょうが」「冷やし茶漬け」でした。第264夜「ミックスフライ」で思い出したのは、実家の近くに子供の足で歩いて3分位の場所に総菜屋さんがあって、おじちゃんが仕込みで、おばちゃん二人で揚げていました。男兄弟四人だったので、揚げものといえばコロッケで、一人一個でした。今からその店の店頭を思い浮かべると、イカの天ぷら・フライ、海老の天ぷら・フライもあったんだけど、おつかいで頼まれた記憶はありません。大学生になって浜松市内の食堂のメニューに「ミックスフライ定食」というのがあって頼んでみたら、コロッケと海老フライと魚フライでした。もう夢のようなご馳走でした。我が家では、もう20年位前から金曜日は「フライデー」という事で、町内のお肉屋さんのコロッケ、メンチカツ、うずら卵のミックスフライで時々、その店特製のポテトサラダ付です。
もう閉店されて久しいんだけど、西区庄内町の「大むら屋」さん、ここの「フライ定食」が大好きで定期的に通っておりました。魚・海老・なすのフライにポテトサラダ、そして貝の味噌汁がついてました。ソースは、タルタルと中濃ソースの二種類でした。思い出すたびによだれが出てきます。
第265夜の「パクチー」ですが、どうしてあんなに流行ったんでしょうか。昨年10月に京都に行った時のランチが、七条大橋近くのタイ・ラオス料理「キンカーオ」さんだったんですが、このお店、2017年5月頃「当店ではパクチー(香草)だけのサラダ料理や、パクチーを大量に使用するような流行りもの系の料理は提供しておりません。…もし、そのような料理をご希望される場合は他の店舗様をご利用下さい」の貼り紙を出されたお店で、まだ貼られていました。(画像②)
(画像②深夜食堂19)
■「小山愛子 舞妓さんちのまかないさん②~④」小学館
(2017.7.23 9.17 12.17)中古漫画
:
2019年度の「小学館漫画賞少年向け部門受賞」作品で、累計発行部数は200万部。青森から舞妓になるために京都に来た16歳の主人公が、早々に「お止め」となり、「まかないさん」として残されるが…。NHKでアニメ化、Netflixでドラマ化、配信されている。
第二巻では、「プリンアラモード」「エビチリ」「とんかつ」「グラタン」「シチュー」「オムライス」「かに玉」「餃子」「イカメンチ」「甘酒」「ホットケーキ」「ひっつみ」「小っちゃいカツサンド」「からあげ」「クッキー」「なべっこ団子」「ソース焼きそば」が登場してました。第三巻には、「りんごジャム」「コーヒー牛乳」「焼きおにぎり」「フルーツサンド」「お雑煮」「くるみだれ」「イギリストースト」「ハンバーガー」「ミートソーススパゲッティ」「クロックマダム」「かきもち」でした。第四巻には「しゃぶしゃぶ」「オールドファッションドーナツ」「キヨちゃん風京風うどん」「焼きりんご」「ホットドック」「おいなりさんとほうじ茶」「クレープ」「かますもち(落花生)」「ホットレモネード」「マカロニグラタン」「チョコブラウニー」でした。53~63頁の第35話「もうひとがんばりの夜」には、節分の日の行事「お化け」が描かれていました。江戸時代、関西では節分の夜に普段と違う服装で社寺参拝を行うと、邪気を払うとされ、今のハロウィンのように賑やかでした。特に京都の花街では、普段の着物とはまったく異なる、男性の恰好をしました。牛若丸とか、貫一・お宮の貫一とか、一年中お着物の時代には、ある意味「ストレス発散」だったかもしれません。洋服の時代になると、段々とすたれていったのですが、2000年頃から復活したようです。男装も「お染久松の久松」「助六」「リボンの騎士」「ベルばら」「必殺仕掛人」など、その時代のコスプレ大会?になっているようです。(画像③)
(画像③舞妓さんちのまかないさん)
■「中村颯希著 神様の定食屋」双葉文庫
(2022.12.14)中古本
:
妹とともに両親の遺した定食屋「てしをや」を継ぐことになった兄、実は料理がまったくできず、妹に怒られてばかり。ふと立ち寄った神社で神頼みをしたら、この世に未練を残した魂が憑依してしまう。憑依する霊は毎回異なるので、短編で展開していく文庫本は読みやすい。登場するお品書きは、「チキン南蛮」「天たまかけご飯」「具だくさん豚汁」「フレンチ風オムライス」「てしをや名物唐揚げ」「ほくほくおでん」でした。
56~119頁の三皿目「天たまかけご飯」、赤坂でミシュランの天ぷら専門店を出していた和食料理人の魂が憑依、天ぷら屋特製の卵かけご飯を完成させる展開でした。土鍋でお米から炊いている間に、海苔と天ぷら衣も準備をして、空の茶碗に海苔を十字に渡し、その中に卵を落とす。そうして、海苔の端を摘まみ上げて袋上にしたものに、先ほどの衣を付けて、高温に熱された油の上に、そっと落とす。半熟に揚がった卵天ぷらをさっと取り出すと、炊きあがったばかりの土鍋ご飯の上に載せ、だし醤油を添えた。食す時は、箸で薄い白身の膜を割ると、とろりと黄色い中身が溢れ出す。さらにほんの少しのだし醤油をかけてから、鰹節をかける、というレシピになっていました。お店の名前も場所も忘れたけど、かなり前にある天ぷら屋さんで、この「天たまかけ丼」を食した際、ご飯が常温で期待外れだった経験があります。(画像④)
■「麻宮ゆり子著 下町洋食バー高野」ハルキ文庫
(2021.6.18)中古本
:
昭和37年の上野駅、二年半前に集団就職で群馬から上京、劣悪な労働環境の工場から逃げ出し、追ってから逃げながら上野駅でうろうろしているところを浅草にある「洋食バー高野」のおかみに拾われ、そこで働くことになる。あれっ、これって、2017年にNHK「連続テレビ小説」の「ひよっこ」じゃないのか、と思いながら読んでいった。人生経験の少ない、田舎娘の上京物語には違いないんだけど、前の東京オリンピック前の中卒少女の悲惨さは、NHKでは描けない内容であった。助けられた洋食バーで、お腹が空いているだろうと、フォンドボーのカレーライスを出された時、過剰な拒否反応を起こす。後になって、その理由が語られる。「寮の食事は、カレー以外も全部餌みたいなものでした。た。その中でもカレーは特にひどかった。食べた翌日、お腹を壊したことが何度もありました。古い油を使っているとか、肉や野菜が生だったからんもしれません。だから、私…いったい誰があんなカレーを作っているんだろうと思って、一度、離れにある調理場を覗いたことがあるんです。…そうしたら、よれよれの汚らしいおばあさんが一人で調理場に入っていくのが見えました。おばあさんはめんどくさそうに野菜を切って、皮はむかないで、カレーは五分も煮込まずに作っているようでした。メンチカツは真っ黒な油に入れて、三十秒もしないうちに引き上げられていて、途中、箸がすべっては床に落としたカツも平気でまた油に入れて…中は結局、何の肉かわかりませんでした」(画像④)
(画像④神様の定食屋、下町洋食バー高野)
■「暮しの手帖 23号」暮しの手帖社
(2023.3.25)新刊本
:
料理の特集は、6~15頁に日本料理「てらしま」の林亮平さんの、「春を味わう和のおかず」。「竹の子ご飯」「肉巻き竹の子天ぷら」「ふきのとうつくね」「春キャベツとアサリのさっと煮」「アスパラの玉子ごま酢」「ふろふき新玉ねぎ」「鯛の潮汁」の七品でした。「鯛の潮汁」には、やはり「うす口醤油」でした。二年程前の情報ですが、浜松市中区の醤油屋さんが、さぬきうどんの店の監修で、うす口醤油を使った関西風の濃縮つゆを製造・販売されたいたようです。関西の味付けがお好きでない方も、「うす口醤油のおうどん」食べてみて下さい。私は、会社勤務卒業後、一週間に二、三回、ランチは「うす口醤油のおうどん」自分で作って食しております。50~53頁には、今号から新連載の「楽に作れるアイデア一つ」。第一回は、長尾智子さんの「水炒め」でした。「キャベツとピーマンの水炒めバター風味」「キャベツと玉ねぎ、ソーセージの水炒め」、いろいろアレンジ出来る調理法でした。104頁の「暮しのヒント集」から一つ、「伝えたいことは先延ばしにせず、思い立ったときに伝えましょう。あのとき話していればよかったと、後悔しないために」昨年は、長いお付き合いだった方がお亡くなりになっているので、心にとめておきます。(画像⑤)
(画像⑤暮しの手帖)
前回の「別冊ちりとてちん」に掲載していただいた、第95回本果寺寄席「瀧川鯉三郎の会」は、3月26日、無事、開催させていただきました。(画像⑥)
(画像⑥瀧川鯉三郎の会)
終演後の客席、見送り時、お客様からは、たくさんの拍手と称賛のお言葉をいただけた「神回」となりました。鯉三郎さんは浜松出身の大真打・瀧川鯉昇師匠の15番目のお弟子さんで、2021年3月に二ツ目昇進された超若手です。私が主催している、この落語会は来演していただける噺家さんには一か月前には、それまでの出演者と演目一覧表を送って、当日の演目を決めていただくようにしております。当初は、鯉昇師匠の勉強会として始めたので、15年間位は、鯉昇師匠はもちろんゲストの噺家さんも当日初めて、それまでのネタ帳を見られて、今まで出ていない噺をしていただけました。急遽、トイレに籠ってネタ繰りされた方もおられました。150席位までは続けられた、と思います。その後は、三年以内に出している噺は避けようとなり、それでも41年間94回で、318席のうち206席の違う噺を聴いていただけました。この夜は、私の前座噺が「ぜんざい公社」、鯉三郎さんは「時そば」「文違い」「浜野矩之」の三席でしたが、「文違い」が207席目、「浜野矩之」が208席目でした。41年間で初めての噺二席を初めての会場、初めてのお客様で演じられたのです。ご常連のお客様からは、その後も素晴らしい感想をいただいております。長く継続していると、こんな「神回」もあるのだなぁと「落語の神様」に感謝の日々です。
さて、次回は「別冊ちりとてちん」に掲載していただきましたが、5月28日(日)兄弟子の「瀧川鯉丸の会」です。ご興味がありましたら、ご支援願います。
2023.4.17 清八