清八でございます。
何という一年やったんかと思うのでございます。「偽」に始まって、「偽」に終わろうとしている一年間、とうとう国家の最高レベルの方までもが、「そんなこと、言ったのかなぁ」と公言されているのでございますよ。と、ここまで書き進めて、このコラムとは違った方向になりそうなので、11月23日の「本果寺寄席」の前座で務めさせていただいた落語のマクラをライブ感覚で書かせていただきます。
場内、割れんばかりの拍手をいただきまして、ありがとうさんでございます。
本日は、素人の落語を聴いてやろうという奇特なお方ばかり、お集まりのようで、本当にありがとうさんでございます。学生の頃から芸名をつけまして、人さんの前で演らせていただいて、もう三十年以上になるんですが、なかなか、うまいこと喋れませんので、先に、お詫び申しておきます。これまで、いろんな所に呼ばれましてね。敬老会、婦人会、老人クラブ、老人ホーム、話し方教室のゲストいうのんもありましたな。どこでも言われるんです。「おたくら、よろしいなぁ。口がうまいんで…」と、振り込め詐欺みたいに言われるんです。ところが、そんな事はございません。典型的な日本人ですからね、人前で話せないんです。私、小学校、中学校の成績表の通信欄、毎年同じこと書かれてましたからね。「おとなしいです。モノ言わない子です。大人になったら心配です」こない書かれてました。ですから、今でもうまい事よう喋れないんです。
一般に落語と言うてんのは、二十分から三十分の起承転結のあるお話でして、この内容は勝手に変えられないのでございます。この本題に入る前のお喋りを「マクラ」と言うてまして、プロの方は、毎日毎日のお仕事ですから、朝、新聞読んだり、テレビのニュース見たりして、一番新しいマクラを喋ることができるんですが、私らはそうはまいりません。一ヶ月程前から考えて高座にかけるわけなんです。充分、仕込んできましても、突然、大きなニュースとかイベントがあると困るんです。
今年は、何と言うても、「食品偽装」の年やったですな。ミートローフから始まって、白い恋人たち、宮崎地鶏、比内鶏、名古屋コーチン、博多明太子、赤福、そして「吉兆」ですわ。次から次へと、出るわ、出るわ。もう、信用できへんてなもんですが、助かったこともあるんです。高級レストランとか料亭の「おせち料理」、今年は信用できへんさかい、注文止めようという事になったことですわ。「吉兆」の17万5千円を予約しようかと言われてましたからね。(誰やねん)また、食品偽装がホンマでよかったという事もあるんです。
世間には、けったいなお菓子があってね。奈良公園に行きますと「鹿のフン」という有名なお菓子がありますな。もちろん、ほんまもんのフンではありませんね。長野県の中野市へ行くと「月のウサギのうんこ」というお菓子があるんです。また、九州・霧島へ行きますと、「黒豚の鼻くそ」というお菓子があるんです。北海道は釧路へ行きますと「ねこのたまご」というお菓子があるんです。これ、みな、名前だけで、偽装なんですよ。「ねこのたまご」なんか、ホンマにあったら怖いですからね。
何で、こないに食品偽装が続くのかと調べてみましたら、物を大量に作りすぎてるんやそうですね。スーパーでもコンビニでも、お土産屋さんでも、品切れと言えない時代になってしもうてね。ついつい、作りすぎてるわけなんです。赤福の社長さんやないですけど、「三個売るより一個残すな」これが、商売でございますよ。この言葉は、経営講演会では、大拍手の発言なのでございますよ。
国家財政もこの理屈やそうですね。日本国中どこでも、東京・大阪のようにホールがあって、映画館があって、図書館があって、体育館があって、病院があって、老人ホームがあって百貨店があってという街を創ろうとしてわけでございます。結果、借金だけが残ってしもうたという事なんでございます。ホンマに、いま、日本はたいへんな事になってるんやそうですね。そら、そうですわな。郵政民営、耐震偽装、天下り、それに社会保険、もう、何でも有りの状態になってますからね。これまでは、小泉のおじさんの考えてはったとおり、民営化を進めてきたわけなんですけど、公務員をそないぎょうさん解雇もできない、というんで、これから逆になるっちゅうんです。国営化なんです。何でも、公務員さんがやるようになると、例えば、国営の料亭、国会議員さんが毎晩使いますからね。議員さん御用達ですな。国営のキャバクラ、国営の岩盤浴、国営のメイド・カフェ、国営の喫茶店、国営の善哉屋、善哉屋ちゅうたら、「ぜんざい公社」ができまんのやて……。
この続きにご興味がありましたら、「ちりとてちん」のバックナンバーから、その16をお読みになってください。それでは、みなさま、良いお年を。
2007.12.23
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